O氏は姉妹で入居されており、特に新人スタッフに対して強い拒否があった。
初めてのケアの時に、やはり「ここに入って来るな!」と居室にさえ入れてくれなかった。何度もO氏のいるフロアー担当になったが、ずっと拒否は続いた。
しかし、ある時、先輩スタッフが
「このお茶を持って行っておいで」と渡してくれたのでO氏の元に持って行った。
O氏は嫌々ながら飲まれた。
すると「あんた上手ね、お茶いれるの」と初めて笑顔で話しかけてくれた。
好きな温度とお茶の濃さがあったらしい。それを先輩スタッフが教えてくれた。
今は、その当時と違い介護におけるケアのあり方も変化し「その人を知る」ことを24時間シートでデーター化し情報を共有している。
その当時は、それを重要と思っておらず、日常に行われている自然なケアの1つだったのだろう。今は、ちょっとした事が、すごく大切と難しいことをやっているようにみえる。
昔は自然にやっていたことが、よいことであっても、共有されてなくて・・・。
もったいないこともあったのではないかと考える。
ケアレシピ読ませていただきました。先輩スタッフの見事なアシストに感激しました。
先輩スタッフは、①新人スタッフのO氏に対する気持ちに気づき、②O氏の人生史(Narrative:物語)への寄り添い方を伝えたかったのでしょうね。根拠に基づいたケア(EBC)と物語に基づいたケア(NBC)の両方を大切にし、その人らしさを支える。それを業務の中で伝える技術は見事だと思います。