脳卒中で入院する人は突然身体が動かなくなったり、言葉が出てこなかったりします。
自分がどの様な状況であるかを判断するのに、とても時間がかかります。
Aさんは左上下肢に麻痺が残り、リハビリを毎日賢明に励んでいます。
決められた時間にPTに言われた事を言われた通りにコツコツと行なっています。
日々上達はしていますが、麻痺が残るのはしょうがないか…
という半ば諦め感じで表情にもあまり変化がありません。
Bさんも同じく左上下肢に麻痺があります。
リハビリに来ると、
何で動かないんだ、ここが痛い、嫌だやりたくないと、泣くことが多い。
それでも話を傾聴していると、少しはやる気になって徐々に麻痺も改善し始めています。
PTとして2人を比較した時にAさんの事がとても心配になります。
脳卒中の方が、自分の障がい受容が出来るようになるのには、何年も何十年もかかると言われる程大変なことです。Aさんの本心や感情はどこにぶつける事が出来るのか、と心配になります。
Aさんタイプの患者さんに遭遇した時はPTとして機能回復はもちろんですが、
心遣り所をみつけるお手伝いが少しでも出来れば、障害受容のステップに繋がると思っています。ちょっとした時間に病室を訪ねて、困った事はないかと話を聞きに行ったり。
心をひらける空間を作ってあげる事も大切だと考えています。
NAYUさんの心の開き方に共感しました。「ちょっとした時間の声掛け」私もよくやります。
気になっているその方の病室や居室の前の廊下を通過するときには必ず。
「さっきはお疲れ様でした。」「もうすぐご飯ですよ」「じゃ、また明日。失礼します。」
「外、まぶしくないですか」「あら、お孫さんですか?」
高齢の患者さんから見れば、私はまだまだ若造。だからこそ、その方の部屋のちょっと前で、
私自身の「前向きスイッチ」を入れて、若いエネルギーをわずかに置いていきます。