認知症の疑いがある方をどうにか病院(物忘れ外来)受診してもらうには、ストレートな表現ではなく、ひと工夫が必要です。
「毎日言い聞かせても、受診当日になると初めて聞いた顔をして、拒否をするんです。」「家族みんなで、言い聞かせて、半ば強引に連れて行きました。」「俺を病院に連れて行こうとするお前の頭のほうがおかしい。」などなど・・・。強制受診を含めた失敗談は少なくありません。
今回は、実際に受診率が高まった声掛け方法のケースをご紹介します。
(例:認知症の疑いのある夫と、病院受診してもらいたい妻の場合。)
【失敗例】
妻「あなた、最近おかしいわよ。ボケたんじゃないの?」
夫「何を言うか!お前のほうがボケとる!」
妻「病院行きましょうよ」
夫「どうもないのに、なぜ病院に行く必要がある?絶対に行かん!」
【失敗例解説】
私はどうもないけど、あなただけが悪い。そんなあなたは病院へ受診すべき!と正論を述べても、自覚が無いケースには通用しません。自覚があったとしても、責められたような雰囲気になっては素直に聞き入れられないでしょう。
【成功例】
妻「あなた、ちょっと相談があるんだけど。最近、私自身が物忘れが多くなって・・・」
夫「ほう・・・」
妻「一人で病院行くのは不安だから、あなたも一緒についてきて。ひとりじゃ不安なの。」
夫「わかった。」
【成功例解説】
心を揺さぶるのです。「私の具合が悪いから」と、自分の不調を訴えて、心に訴えかけるのです。夫婦の絆が強いほど、日常生活での依存が強い相手ほど効果的になります。
その後は、「記念受診だと思って」「せっかくの機会だから」「健康診断ですよ」と勧めていただければ幸いです。事前に家族や看護師、医師に伝えておくと効果的です。
皆さんが経験した物忘れ外来受診のためのヒント。コメント欄にてお待ちしています。
保育に通ずるところも多いと感じました。(実践の場は3歳の愚息との日常です)
~おしっこをしたそうにしている息子~
妻:「おしっこしておいで」
息子:「やだ でない」
妻:「漏らしちゃうよ?」
息子:「だいじょうぶ だいじょうぶ♪」
(もものあたりをすりすりしながら・・・)
このままでは、甚大な被害が。
私:「ぱぱ おしっこしたいんだけどトイレ連れて行ってくれない?」
息子:「え~1人で行けないの?」
私:「場所がわからないんだって~ぇ」
息子:「しょうがないな~ おいで!」
普段から通いなれた場所での出来事です。
息子が気持ちよさそうに用を足していたことは言うまでもありません。
ケア・福祉の概念では保育も含んでいますよね。保育所保育指針「子どもの心身の発達及び活動の実態などの個人差を踏まえるとともに、一人一人の子どもの気持ちを受け止め、援助すること。」高齢者と子ども、やはり親和性が高そうですね。
中尾根さん、コメントありがとうございました。確かに、中尾根さんのおっしゃる通り、子供の場面でも通じる話ですよね。認知症の方の場合、幼児の場合の対応方法と枠を決めるのではなく、大きな枠組み「人の場合」として考えるべき課題だと思います。「合点のいく方法を早期に見つけて、自然に支援することで、お互いが満足できた」瞬間の喜びは最大級で、ずっと覚えているレジェンド・レシピ(とっておきの経験・私の宝物)になりますよね。プロとして、いつまでも磨き上げたい能力の一つです。
私も悩んでいる一人です。何度も同じ話を繰り返ししたり、悲観的な事を口走ったり...。の身内が居て、年齢的なものなのか、鬱なのか?何度、同じ話をされても、初めて聞いたように振る舞うことはできるのですが、なかなか「受診」となると人一倍プライド高く躊躇してしまいます。何事にも早期発見、治療にこしたことはないと分かっているのですが。もっとコミュニケーションをとって、何でも話せるようにして病院に「相談」に行ける環境を整えたいと思います。