認知症の疑いがある方をどうにか病院(物忘れ外来)受診してもらうには、ストレートな表現ではなく、ひと工夫が必要です。
「毎日言い聞かせても、受診当日になると初めて聞いた顔をして、拒否をするんです。」「家族みんなで、言い聞かせて、半ば強引に連れて行きました。」「俺を病院に連れて行こうとするお前の頭のほうがおかしい。」などなど・・・。強制受診を含めた失敗談は少なくありません。

今回は、実際に受診率が高まった声掛け方法のケースをご紹介します。

(例:認知症の疑いのある夫と、病院受診してもらいたい妻の場合。)

【失敗例】
妻「あなた、最近おかしいわよ。ボケたんじゃないの?」
夫「何を言うか!お前のほうがボケとる!」
妻「病院行きましょうよ」
夫「どうもないのに、なぜ病院に行く必要がある?絶対に行かん!」

【失敗例解説】
私はどうもないけど、あなただけが悪い。そんなあなたは病院へ受診すべき!と正論を述べても、自覚が無いケースには通用しません。自覚があったとしても、責められたような雰囲気になっては素直に聞き入れられないでしょう。

【成功例】
妻「あなた、ちょっと相談があるんだけど。最近、私自身が物忘れが多くなって・・・」
夫「ほう・・・」

妻「一人で病院行くのは不安だから、あなたも一緒についてきて。ひとりじゃ不安なの。」
夫「わかった。」 

【成功例解説】
心を揺さぶるのです。「私の具合が悪いから」と、自分の不調を訴えて、心に訴えかけるのです。夫婦の絆が強いほど、日常生活での依存が強い相手ほど効果的になります。

その後は、「記念受診だと思って」「せっかくの機会だから」「健康診断ですよ」と勧めていただければ幸いです。事前に家族や看護師、医師に伝えておくと効果的です。

皆さんが経験した物忘れ外来受診のためのヒント。コメント欄にてお待ちしています。