ショートステイを利用されていた認知症の方のことである。
子供さん達は遠方に住んでおられ、高齢者夫婦で生活されている、いわゆる「老々介護」であった。
ある利用日の入浴時にボディチェックをしてみると、
有り得ない場所にたくさんの皮下出血や傷があった。
ご主人に確認してみると「転んだ」とのこと。
それにしては傷の多さ場所が不自然である。
直ぐに報告、手続きをとりロングステイから緊急入所になった。
ご主人は真面目で穏やかな方で若い頃から夫婦仲もよく、ずっと助け合ってこられたと聞いている。
もし虐待をしているという意識があれば、あえてショートステイは利用せず隠しておかれると思う。
「靴を履かせようとしても抵抗される。御飯を用意しても食べてくれない。目を離した隙に何処かへ行ってしまう」
ご主人は誰にも頼ることができず限界だったのだと思う。
これでは、どちらも「被害者」である。
このような「サイン」を私達が見逃してはならないと強く思う。
この方が入所されてほどなく、ご主人は病に倒れ亡くなられた。
子供さんから
「父は穏やかな顔をしていました。きっと母のことを安心したのでしょう」
とお話しされた。
看護介護の「護る」目線の大切さが伝わる大切なレシピ読ませていただきました。視診、問診、触診、打診。今回は特に視診の重要性ですね。私も最近、周囲に外傷や打撲痕が無いのに、上腕内側や大腿内側、前額部中央や体幹上部に複数の皮下出血痕がある(※皮膚露出部に外傷は見られない)。虐待ケースとして対応した経験があります。「どちらも被害者」に共感です。