ある日、「幽霊が見える」というレビー小体型認知症患者のAさん。
決まって、夜に見えるとの訴えが多い。

「夜間せん妄」の症状ではないかというスタッフもおり、
夜間帯の様子を注意してみることに。

次の日の夜、私の勤務中に、A氏の部屋のコールが鳴り、
部屋で本人の訴えをきちんと聞くと、

「痩せた男の人」
「薄く見える」
「こっちを見ている」
「手を振る」

と言われる。

どうやら、窓のガラスに映る自分を見間違い、幽霊と錯覚したように思われる。

しばらくして、カーテンを閉めてみると、ピタリと、幽霊が見えるという訴えはなくなった。
平たく言えば、ただの見間違い。勘違いの範囲かもしれない。

私達は、本人の訴えを耳で聞くのではなく、心で聞く必要があると感じた。

レビー小体性認知症とはどのような症状ですか?

レビー小体性認知症の場合、幻視や幻覚、妄想の症状が出ることが多くあります。
幻視の多くは、見間違いが原因です。
「黒ヘビ」の幻視の原因が「黒いコード」の見間違えだったり、
「犬や猫」の幻視の原因が「丸めたバスタオル」の見間違えだったりします。

今回の幽霊も、見間違いが原因による幻視だったんですね!

そうです。幽霊の幻視は「窓に映る自分」の見間違えが原因だったのです。

何がきっかけでその訴えがあるのか?
その原因を見つけ、取り除くことで症状が大きく改善することもあります。
今回は窓に映る本人が原因だったので、それをカーテンで排除したことでピタリと「幽霊の幻視」がなくなりました。

どうして「幽霊の幻視」の原因が、窓に映る本人の見間違えだと気づいたのですか?

私は、本人の言っていること、すべてが正しいと思って本人の訴えをキチンと聞くと、
「痩せた男の人」
「薄く見える」
「こっちを見ている」
「手を振る」
あっ!窓のガラスに映る自分を見間違えたのが原因だと気づけました。

ご本人の訴えを、心で聞いてあげることが大切なんですね!

レビー小体性認知症の幻視の原因の例

皆さんでも、ドキッとしませんか?

例1)電気コード → ヘビ

絡まった電気コードをヘビに見間違えた例。

例2)タオル → ネコ

丸まったタオルをネコに見間違えた例。

例3)壁紙・天井 → 虫の大群

模様の入った壁紙・天井をアリの大群に見間違えた例

レビー小体性認知症とは?

レビー小体型認知症は、三大認知症の一つで全体の20%を占めます。
脳内に「レビー小体」というタンパクがたまり、
脳の細胞が損傷を受けて発症します。
細胞が徐々に減っていく進行性の病気で、アルツハイマー型と比べると進行が早いです。
認知障害だけでなく、幻覚・幻視、うつ症状、パーキンソン症状があるのが特長です。
最近になって知られるようになった比較的新しい認知症のタイプです。

割合 20%
男女差 男性に多い
発症時期 75~80歳に多い
症状 認知障害、幻覚・幻視、うつ症状、パーキンソン症状
調子の良し悪しの波が大きい
経過 比較的に進行が早い
原因 脳内に「レビー小体」というタンパクが蓄積すること
診断 後頭葉の血流低下など
治療 根本的な治療は困難
薬による対症療法
早期発見できれば治療効果大

レビー小体型認知症について




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