急性期の病院に居た頃から、福祉に入って10年程になり、よく考えることがある。

福祉の世界に入ったのは、
福祉でやりたいことがあった訳ではなく本当に単純な理由だった。
毎日毎日モニターやポンプの電子音に囲まれて、
耳にするのは”苦しみの訴え”か”職員同士の業務会話”。
業務をこなす...。バーンアウト寸前だった。

「私は何のために看護師になったのだろう。したかった仕事って何?」
苦しかった。
環境を変えたいと思っていた時に福祉との出会いがあった。

認知症の方との関わりの中で毎日が驚きの連続だった。
自分の常識が通用しない、認知症という疾患は奥深く正解が見つからない。
「退院おめでとうございます」
の先にこんな所があるとは考えたことなかった。
でも、ここには会話の中に”笑い”も”発見”もある。ある時、笑顔で仕事をしている自分に気づいた。きっと看護師を目指し、なりたての時にはこうだったんだろう。

それが慣れや業務に追われだした頃には、
「人」ではなく「病」を見ていたような気がする...。