初めての関わる介護事業所から、利用者様(A様)の利用依頼がありました。
なんでも「あつたの森さんは、リハビリが評判だそうで」とのこと。
デイケアでは受け入れ件数の少ない気管切開と胃瘻を造設している方でした。

現状の業務と職員数を考え、相談員やリハビリ職員と何度となく話し合った結果、利用が決定しましたが、とても不安だらけでした。
奥様の「ベッドで座れるようになるといいな。」の一言に、リハビリ担当者とともに心を動かされました。

実際にデイケアを利用されると、こちらの不慣れな手際や焦った様子に、A様も緊張している様子でした。それでも数回のご利用後はリラックスした表情も多くなり、痰を吸引する回数も落ち着いてきていました。

ところが先日、利用中にA様の容体が急変し痙攣発作が起きました。
すぐに提携の病院に搬送し入院となりましたが、
私たちの援助方法が至らなかったんじゃないか…、
もっと早く容体変化に気付けたのではないか…、と悩みました。

そんな気持ちの中で病室へ伺ったところ、
奥様から「あら、来て下さったの?本当にどうもありがとうございました。」のお言葉。「家で発作が起きていたらと思うと…、すぐに運んでくださって、ここを利用させてもらっていて良かったわ。」と言って下さいました。
A様に「大丈夫ですか?また来られるのをお待ちしていますね。」と声をかけると、両目でパッチリ「Yes」の合図をしてくださいました。

数回の関わりの中で声を覚えて下さっていたことを、とても嬉しく感じました。

すぐにスタッフに報告すると、「至らないケアでそんなに喜んでくれて…。大変だけど、ご家族のことを考えると…、がんばりましょうね。」と前向きな意見があり、嬉しくもまた頼もしく思いました。

職員の業務負担を考えて受け入れを迷った方ですが、業務は大変でもそれ以上に私たちの得るものが多い気がしています。幸いA様の容体は安定していて、今週には利用を再開される予定です。
よりデイケアでの生活を楽しんでいただきたく、A様の好きなアリスのCDを父親のコレクションから拝借し、職場に持っていく準備をしながらこの文章を書いているところです。