時は11月上旬。
クリスマス会を目前に職員は慌ただしくクリスマス会の準備に追われている日々の出来事であった。

私が、夜勤にて出勤し、空いた時間で、談話コーナーにて過ごされていた利用者数名に
クリスマスソングの歌詞カードを配り一緒に歌の練習を行った。
その時、その中にいたYさんより、
「1週間前に歌詞カードくれるって言ったのに、誰からももらえなかった」
と職員の中の誰かと約束を交わしていた事を聞いた。

私は、約束が守られていなかった事の謝罪の言葉と共に、歌詞カードを手渡した。
すると、
「これ宝物にする。もう1枚もらえない?○○さんにもあげたいの。喜ぶと思う」
と満面の笑みを浮かべ、自分だけではなく他利用者の分まで気遣って言われた。

私の心はジーンと温かくなった。

それと同時に、職員の歌詞カード1枚に対する価値観とYさんの歌詞カード1枚に対する価値観の違いを実感した。人間誰しも価値観が違って当然である。
しかし、Yさんはこのところ「思い出すのが面倒だから、何も覚えないようにしているの」という事がある。その中でも1週間前からの約束を大切に覚え、首を長くして待っていたようだ。

忙しい業務の中で、職員は無意識の約束を交わしたのかもしれない。
だだし、小さな約束だろうと守る事の大切さが日々の信頼関係、絆に繋がるものだという事を実感した。
小さな約束事もチームケアでフォローし合えるような現場でありたいとそう願った1コマであった。