学生時分から重度心身障害者向けのグループホームを立ち上げた経験もあり、介護は身近で親しみのある仕事だった。そんな私の転機は入職10年目にやってきた。

障害の方々向けデイサービス施設に当時50代の利用者さんが来られていた。
ストレッチができる場所として利用している。その方の目的は明確だった。

身体が不自由でいらっしゃる様子をみていると、「なにか援助が必要なのかもしれない」と思い、声をかけるのだが、「自分でやるからイイよ。(必要ない)」
援助者の立場に居た私は必要とされていなかった。その言葉通り、ご自分で何でも挑戦し、新しいものを取り入れ工夫され、状況改善に取り組まれていた。

慣れ親しむことで、視野や考え方を懲り固めていたと反省した。

利用されている方々は、各々全く違う。個別性のサポートが必要なのだ。
こちらから見えることだけで判断(行動)するのではなく、向こうから発信される情報を受信する(待つ)ことで、双方向のコミュニケーションから生まれる本来の“個別性サポート”を実現し易くすることを改めて考えさせられる出来事でした。