先日、消防訓練を実施しました。消防署との合同訓練で、消防士や消防署員20名余りの方々も加わっての大がかりな訓練です。はしご車1台に消防車3台、その他関係車両も4台出動しました。

「火事です!火事です!直ちに避難を開始して下さい!」

施設の中に、普段は耳にすることがないような大音量で、避難を促す大きな放送やサイレン、災害発生を知らせる強い光が点滅していました。

職員は、決められた手順に沿って消防署に通報したり、消火器を持って初期消火にまわりました。また、決められた場所に、急いで利用者様を誘導したりもしていました。

認知症専門棟で訓練の様子を見学していると、一人の女性利用者が「大変だ~、大変だ~。早く私を助けて下さい。」と声を震わせ、慌てふためいた表情で車椅子から立ち上がろうとされていました。

訓練の前に、放送設備や職員を通じてお知らせしていましたが、しっかりと伝わっていなかったようです。

そばに駆け寄り事情を説明すると、「何だ~、そうだったのか。びっくりした。あ~よかった。」と少し安心されました。

訓練後、リハビリスタッフから聞いた話だと、消防訓練中にリハビリを実施していた、認知症のある他の利用者様も、いつもと違う雰囲気を感じとりソワソワして集中できず、消防訓練後もいつもと違って落ち着かれない様子だったようです。

消防訓練は、施設やスタッフにとっては、火災発生時に利用者の命を守るための大切な訓練です。

避難計画や訓練実施手順の内容に、避難場所や避難方法だけでなく、利用者様を主体とした安心して参加して頂くための計画と、訓練実施後にも安心してお過ごしいただけるような計画を明記しておく必要があると気付かされた場面でした。