想像してみてください。
もし、みなさんがふと気づくと、いつのまにか時間がすぎていて、全く知らない家の中で、一度も会ったことのない人たちから自分の名前を呼ばれ、話かけられたらどうでしょう?
きっと、思考が混乱し、不安と恐怖に襲われるのではないでしょうか。

認知症の症状の1つに、時間や場所、人の顔がわからなくなる見当識障害があります。
この障害が起こった認知症の患者さんは、このような不安の連続の中で生活しているのです。
帰宅願望・徘徊・幻覚・妄想といった周辺症状(行動と心理に関する問題行動)は、患者さんのそんな不安や不信が原因で引き起こされます。
こうした認知症の症状について正しく理解し、適切に対応できる人は、残念ながら専門家の中でも多くないのが実情です。

厚生労働省の発表によれば、2013年の認知症の推定患者数は約462万人。
その患者数は今後も増えていくと推測されています。
近年は認知症予防教室の開催や認知症ケアに関する講演を行う自治体も増えてきています。

本書では、私が、理学療法士として多くの認知症の患者さんに接し、国・県・市・町の認知症予防事業に携わった経験をもとに開発した脳のパズルトレーニング「川畑式認知症予防メソッド」を紹介しています。
みなさんによって、本書が脳を若々しく保ち、楽しく充実した人生を送るための一助になれば、これほどうれしいことはありません。

みゆきの里認知症対策室理事長付室長 川畑 智

【CONTENTS】

◆脳の衰えを防ぎ物忘れや認知度を退けるには脳の記憶中枢[海馬]を鍛える楽しい脳トレが大変有効・・・・4

◆介護施設の実地研究から開発した図形・数字の脳トレ[川畑式メソッド]が評判で、全国500の専門施設が採用・・・・6

◆川畑式メソッドを行えば認知機能が向上し、認知症の問題行動も減り集中力まで高まると試験で確認・・・・8

◆認知症を患い無気力で暴言も多かった94歳の男性が川畑式メソッドで元気になり、会話・笑顔が増えた・・・10

【川畑式認知症予防メソッド】

①海馬を刺激し短期規則を磨く[図形暗記トレーニング]・・・・11

②計算をくり返し海馬を活性化する[計算迷路パズル]・・・・16

③一時記憶の反復訓練で海馬を鍛える[7ピースパズル]・・・・23

●ご解説いただいた先生方●

ぼたん園施設長 江頭 洋祐

みゆきの里認知症対策室長 川畑 智