De-Vo(デーボ)とは、『施設と地域の連携から生まれた認知症サポートシステム』
De-Vo ~Dementia`s Volunteer~(以下、De-Vo)

地域に出て、初めて見えるもの(地域の現状)

日常の中で認知症の方と出会う時。多くの場合、「物忘れ」や「服の乱れ」また「会話がかみ合わない」ことで“何となくおかしい”と感じても、「万が一間違っていたら…」、「既に家族も知っているだろう…」、「自分が言わなくても誰かが言うだろう…」と考え、「ヨソゴト」として処理されてしまう。残念ながら、連絡や相談にまで辿り着かない。

加えて、地域住民の方々に【認知症のイメージ調査】を行うと、「物忘れ、徘徊、わがまま、妄想、無気力」という症状の理解であった。これらを分析すると、中核症状と周辺症状の混在や、症状と性格の混在が起きていることがよく分かる。

私の目の前で、“普通に考えると理解し難い言動”が起こると、「本当のこと」「正しいこと」を言って、どうにか本人に“普通でない”ことを理解させようとしてしまう。結果的に強い口調で説得をしたり、頭ごなしに叱りつけてしまい、好ましい認知症ケアに繋がり難くなる。周りが説得すればするほど、好ましい認知症ケアまでの道のりは遠く険しくなり、その間の認知症の方ご本人や、その家族のストレスと介護負担は、計り知れないものとなる。

地域の「傍観者」が「支援者」になるきっかけづくり。

こんな悪循環を断ち切り、良循環(好ましい認知症ケア)にする地域包括ケアシステムこそ「De-Vo構想 ~学ぶ・感じる・活かす~」である。

我が家に高齢者がいないから、私にはまだ関係のない話だから、地域の世話役ではないから、様々な条件(言い訳)は傍観的な立場でいることを肯定する。このような方々が支援者となってくれたらどれ程に力強いことか。
しかし、わずかなきっかけで支援者へと変身することがわかった。その一つのきっかけは、専門性に触れることであった。認知症という病気への興味・関心は高いが誰も詳しく教えてくれない・・・。私はこの“きかっけが無いこと”が、むしろ問題だと感じたのである。

「地域の中に専門職が居ない。」

これは物理的な問題だけではない。精神的な支えになる存在である必要があるだろう。専門職は自ら地域に出向き、知識と経験を共有し、その存在を地域に認知してもらうことで存在価値をより大きなものにする。

地域の仲間に入れてもらうための「下地作り」

まずは、地域住民と顔見知りになり、地域に受け入れてもらえる存在「仲間」になる必要があった。このためには、地域と協働することが大切。地域のために知恵と汗を流せるか?地域に役立つ専門性があるか?本気でこの地域を支えたいと思っているか?が試される。
私が始めたことは、地域包括支援センターに同行し、公民館単位で30~60分の出張ミニ講座を開くことだった。これをコツコツ重ねること6か月(以上)。地域と私の関係は見違えるように変わってきた。会場に着くと「いらっしゃい!」、「待ってたよ!」と声をかけてくれるのだった。そしてさらに、私の顔と名前、役割(この人ができること)への認知が深まると、「ちょっと相談があるんだけど」と、講座終了後の時間で地域の悩みを教えてくれるようになった。

地域を挙げてのDe-Voシステム構築

De-Vo構想の第一歩は、養成講座に足を運んでもらう計画だった。この案内をどう周知するか?ことある度に、私たちの頭を悩ませるのが広報活動だった。
がしかし、出張ミニ講座で顔見知りとなった地域の自治会長が集まる定例会に参加し、相談を持ちかけると、回覧板にて周知してもらえることになった。「地域のため」の活動で「無料」で実施する地域の力により、約2000隣保分のチラシがあっという間に配布され、その結果、当初の予想をはるかに超える参加希望者が集まった。

ようやくスタートラインに立つことができた。

けあぴ編集部より

互いに求めていた という事実

互いとは地域と施設の事である。双方の思惑が一致したからこそ、De-Voは現在200名程の方々に支えられる取り組みにまで成長した。
はじめに2つ前置きが必要である。
ひとつは、人手不足を補うことを目的にしていない。こと。
ふたつ目は、ボランティアには自主がある。ことである。無償で手伝ってくれる心優しい方々という認識には訂正が必要だろう。その方々を駆り立てる価値がある。
 De-Voの魅力であり象徴的なキーワードは「互いに」である。多様な方々それぞれが価値を感じられる様に、様々な視点を上手に取り込みデザインできた事が多くの賛同者を得るに至ったポイントだと考える。

地域×専門性×活力

事のはじまりは地域の方々とのコミュニケーションからであった。川畑さんは自らの視点が凝り固まってしまわぬ様、足繁く現場へ出向く。「施設にばかり居ては、施設側の情報にまみれて地域に疎くなる」当たり前のように聞こえるが、De-Voの取り組みはそんな些細な日常から生まれたとも言える。そして、どんなに忙しくてもそれを欠かさないのは、現場にこそ真の情報があるという信念があるからだ。

Next Chapterは、「De-Voと学び-学び合う~養成講座が開かれる~