『かいごプロフェッショナル』 第二弾は、
社会福祉法人 中心会(神奈川県海老名市)
介護福祉士 中橋功さん

異色の経歴を持っているからこそ、見える・感じる介護について語って頂きました。
大柄な体格から発せられる、太く渋い声が印象的です。

中橋さん

“自然で居る”こと。を大切にしています。

今回はよろしくお願いします!

介護に携わって5年が経ちました。今思い返しても、過してきた全ての日々は私にとって過酷なものでした。

介護という仕事はこんなにも大変なのか!?

これが介護に携わってみて素直に感じた気持ちです。
介護を必要とする方々が増え、これからは今以上に介護従事者が求められます。1人の介護従事者として現場で学んだことや感じていることを共有できる機会を楽しみにしています。

介護に携わってからのことを教えて下さい。

介護とは全く違う業界(金融業界)に務めていた私が新たに選んだ「介護」という仕事は、まさに別世界でした。似ていることといえば、どちらも“体力勝負”なところでしょうか。朝は7時から出社し、退社する頃には午前様なんてこともしばしば。だから体力的には、他のどんな仕事に就いたとしてもやっていける自信がありました。

今の職場に来てからは、前職のような法外な時間で働くことなど勿論ありません。基本的にはシフトで稼働しますから、多少の残業はあっても身体を休める時間は取れるわけです。
がしかし、現実は前職よりも過酷でした。安易に比較できるものではないのですが、事実そう感じているのです。

介護を仕事に選んだのは何故ですか。

介護という仕事に就いたのは、父親の体調変化がきっかけでした。昼夜問わず仕事に明け暮れていたその頃の私は、家族のことにほぼ無関心でした。
そんなある日のこと。たまたま家で過ごしていたその時に、突然父親が倒れます。

親父を助けなきゃ!

頭ではそう思っているのですが、なにをしたらいいのかわからない。恥かしいことですが、救急車を呼ぶことすら思いつかなかったのです。
それでも、なんとか父親を負ぶって車に担ぎ込み、病院へ駆け込みました。

しっかりしろよ!

と願いつつ、よからぬことも頭に過ったひと時。結果は、「低血糖」。幸い大事には至りませんでした。が、ホッとしたのも束の間。自分の無力さを痛切に感じたのでした。

これからは、自分が家族を看取ってやれるまでになりたい。

こんな思いを抱いて、介護の仕事に就きました。

強い思いがあったのですね。

志は高かったと思います。しかし、志だけでは上手くいかないものですね。
介護に従事する人たちのことを「優しい」とか「面倒見がいい」。挙句の果ては「いい人」なんて形容することが多くはないでしょうか。確かに大切な要素ではあると思います。ですが、これらの上っ面なことだけで、介護はできない!と私は思っています。

例えば、声かけや寄り添いは、介護という仕事を行う中で頻繁に使われる言葉です。施設の中で時間を過ごす職員の誰もが意識しているし、利用者の方々はその行動に触れることでしょう。職員は楽しい時間、安らかな時間を過ごして欲しくて声かけや寄り添いを試行錯誤します

利用者の方々は一人一人違う。その日の雰囲気によってだって対応の仕方を考え、必要があれば対応を変えねばなりません。だから今日の一人一人に向き合って、どのようにするのかを考える。
感覚的に仕事をしているわけではないのです
全ての所作に意味がある、その行動を意図的に選んでいるわけです。これが専門家(介護福祉士)の仕事だと思っています。

仕事をする上で大切にしていることを教えて下さい。

私が大切にしているのは、私自身“自然で居る”ことです。力み過ぎない、わざとらしさでごまかさない、いい意味で無理だってできない。私も相手も人です。心があることを忘れたくないですね。ましてやほとんどの方は私にとって人生の大先輩。敬意を払って接したいと思うのです。

自分の感情のままに

これに気付き始めて、過酷な日々から抜け出せた。楽しさを感じられる様になった気がしています。

私が何かをしてあげている は、ダメ

なんて思って仕事をすると、ダメですね。相手(利用者の方々)だって、心無い対応ってわかるんですよ、業務的というか。そんな時には露骨に嫌がられたりもしますしね。

つくづく介護って、真っ直ぐな仕事だなぁ。と、思っています。

中橋さんありがとうございました!
皆様、後編もありますので、お楽しみに~