『かいごプロフェッショナル』 第二弾の後編です。
些細なことでも、差を見つけられるように。
介護という仕事がどんな仕事なのか、知らない人が多いですね。
福祉に携わる人間たる者、利益なんて考えてはならない!
なんて声は未だに聞かれるのが現実です。介護はボランティア、お金のことをあれこれ言わない、のが正論だそうです。まだまだ介護のことをわかってもらえていないなぁ、と悔しくなることもありますよ。
他には“3K”(きつい・きたない・きけん)(最近では、きゅうりょうが安い?も加えるとか)や“家事延長”などといわれる事も。
本質的に理解してもらえてない以上に、強い思い込み「介護とはかくあるべし」があると感じます。
思い込み=認知 現実と認知にギャップがありそうですね。
そうですね。正しい理解というよりも、思い込みですね。皆さんに対して身近なことであるが故でしょう。だからこそ、介護を本質的にわかってもらう必要があるのに、そのための情報(発信)が少ないと思われます。我々がもっと伝えることをしていく必要がありますね。
しかしまた、思い込みを持っているのは働いている私達も同じです。
例えば施設内では、たばこダメ。お酒ダメ。健康を害するまではよろしくありません。でも、なんで利用者の方々だから“ダメ”なんでしょうか。施設によっては意図のあるダメもあることでしょう、ただ多くの場合、それは単なる思い込みと染付いた慣習である気がするのです。
私どもの施設には、各フロア喫煙室があります。お酒の自動販売機も置いてあります。利用するにあたってはルールがあります。それは私達職員も同じように適用されているものです。
(利用側の)やれることを増やす。と、(施設側の)リスクも大きくなると考えられます。だからといって、利用者の方々から自由を奪うのは違うと思う、出来る限り自由に生活してもらいたいと思うのです。
私はこの自由を「らしさの生活」と捉えています。
その人らしさが実感できる時間を過ごして欲しい
そんな思いです。たくさんのことが出来難くなって施設に来られる利用者の方々、その方々に更に制限をかけるのか、出来難くなったことがひとつでも出来るようになるために、私達が介護するのか。目的が明確であれば、日々の活動もぶれないはずなのです。
介護についてもっとわかり合うことが必要ですね。
私がこのような違和感を抱いたのは、違う業界から来た人間だからでしょう。良さも悪さも、“差”が見えないとわからないものです。(美味しいものを、美味しい!と感じられるのは、不味いものを知っているからです。)現状満足では何事も向上しません。だから些細なことでも見つけた“差”を如何に大切に扱えるかが重要だと思っています。
時間が経てばそんな私の感度も慣習に侵されていくのだと思います。だからこそ、若い世代の仲間を増やしたい。常に“差”を見つけられる、気付きを得られる職場でありたいと。
そして、我々が経験してきたことを若い世代の彼らに提供することで糧としてもらい、彼らの新鮮な感度を共有してもらうことが我々の糧となる。そんな相互関係が大切なんです。
これからのことについて教えて下さい。
介護はチームで行うものです。
職員の中では、世代の違う仲間、職種の違う仲間、それぞれの強みを活かして協働します。利用者の方々、ご家族、地域の方々だって、チームの一員です。同じ目的を共有し、そこに至るために各々が専門性を発揮する。支え合って仕事をします。チームを形成する仲間の存在はとても大きいのです。
だからこそ、チーム内でもっともっと介護という仕事について、情報を共有していく必要があると思っています。そして、介護の質を高めていきたい。それが社会的認知を高めることに繋がれば嬉しいですしね。
介護は大変ですが、前向きで楽しい仕事なんだ!
そして大きな可能性を秘めた専門性の高い仕事なんだ!
ということを多くの人たちと共有したいです。
私が見つけた楽しみ方は、「利用者さんと時間を気にせず、ゆーっくりとお茶を飲むこと。」こんな時間が過ごせるときは、最高ですよ。
中橋さんありがとうございました!
中橋さんが所属する中心会さん、ご協力ありがとうございました!
社会福祉法人 中心会
~大きな皿もその中心を支えれば、指一本で宙に安定させることができる。人間の社会もそれと同じように、たとえ小さな力でも、中心が分かれば平和と安定をもたらすことができる。~
支えを必要としている人々の中心である、この考え方こそ中心会の由来です。
中橋さんの前編はこちら!
たびたびすみません😃
久しぶりに"熱い"人の話を、聞けました。
前編。後編。読みごたえありました。
私も老健で部長を、していた頃、ビールを飲みたい、たばこがすいたいといわれる利用者さんの希望をかなえるために、他部署のかたがたと話し合いをし、ルールを決め、一緒にビールを飲んだことを思い出しました。
また、たばこを吸いたい人は、毎日たばこを吸う職員に、自分の分ももっていくようにいって、まさしく、利用者とスタッフの一服の時間をつくってみました。
臨終間際、どうしてもたばこを吸いたいと頼まれたとき、スタッフが火をつけたたばこを口にくわえ、吸い込むことはできませんでしたが、笑顔がこぼれたことを思い出します。
ただでさえ制限の多い施設、病院生活。その人らしさを大切にしていらっしゃる人がこんなに熱く介護をかたってくださっている。
私もがんばります。ありがとうございましたm(__)m
私が見たオランダの施設では、施設の中に、堂々とBAR(バー)があり、昼間からお酒を楽しむ入居者の姿がありました。スタッフに尋ねると、その方々は、アルコール中毒経験者とのことでした。スタッフ曰く、「アルコールを禁止すると隠れて飲むために飲酒量が増える。誰かがいるBARという環境下で、楽しみながら、量を自分でコントロール出来るようになることが大事。」
中橋さんが言う「らしさの生活」。私もその重要性を感じます。