この選び抜かれた精鋭ナース達は「川崎大動脈センター」に所属している。大動脈瘤・大動脈解離の専門医療を行うナース達が“歌って踊る”姿を想像できるだろうか。高度急性期医療の現場にいる方々が、地域と繋がるその時をお伝えしたい。

かわさき健康塾とは

かわさき健康塾(社会医療法人財団 石心会 川崎幸病院 主催)とは、地域の方々が病気や医療について知識を深め、健康維持・増進、疾病の早期発見・早期治療に役立てていただけることを意図して開催されている。2012年から始まった健康塾は、毎月平均約35講座が開かれており、2015年1月には参加者総数延べ4万人を達成した。

講座のテーマは多岐に渡り、「ヘルシーメニューでお花見パーティー」(担当講師:栄養課-管理栄養士)、「お家に帰ろう!~在宅介護の実際~」(担当講師:医療相談科-社会福祉士)、「脳卒中~脳卒中の危ないサイン~」(担当講師:脳神経外科医)と、分野も幅広い

看護師が伝えるシリーズ~胸の痛み~

そんな講座の1つ「看護師が伝えるシリーズ~胸の痛み~」を担当したのが、川崎大動脈センターに所属するナース達。
死に至ることもあるという「大動脈瘤」について。その症状を“とんでもない胸の痛みや腰の痛み”と表現して取り上げた。大動脈瘤という参加者にとっては耳慣れない言葉を、胸の痛みや腰の痛みという言葉に置き換えて伝えられる情報は、なるほど頭に入りやすい。
参加する方々は病のことにも興味はあるだろうが、やはり一番は「“わたしは”生活の中で“何(どんなこと)”に気を付ける?」ことに関心があるのだろう。

キラリと光る蝶ネクタイ

2011年3月11日東日本大震災の後、大動脈瘤を患う方は約2.2倍に増えたという報道があった。ストレスを感じること、血圧の高まりが要因となっていることなどがわかり易く説明される。生活するうえで“楽しく過ごす”ことは何にも代え難い大切なことである、と説明が加えられたその時。。ナース達の胸元には、キラリと光る蝶ネクタイが装着されていたのだった。

星降る街角(作詞:日高仁、作曲:日高仁、歌:敏いとうとハッピー&ブルー)
参加されている方々に身近な曲目を「替え歌」にして披露するのである。
“わたしは”生活の中で“何(どんなこと)”に気を付ける?」。変えられた歌詞は、これを伝える言葉になっていた。

笑顔で手拍子をする参加者とエンターテイナーと化したナース達が一緒になって“楽しく過ごす”時間を創りだした。
大動脈瘤予防。まさに、健康塾の中でこれが体現されていたのだった。

医療×介護、そして地域

医療介護連携が更に求められる今日。高度急性期医療×慢性期医療、医療×介護、そして地域と、住み慣れた地域で如何に安心して過ごすか、その連携がテーマである。既存の領域だけに留まることなく、地域へ出向いてわかり易くその専門性を提供する姿が、かわさき健康塾にはあった。

帰り際。「明日も来るかい?」と、参加者同士の話す姿が印象深い。

川崎幸病院

石心会