利用者さんが実際に企画したことについてお話しします。
「保険外バスツアー~温泉に行きたい!!家族の欲求」から生まれた企画です。

なにかを成す時。大切なのは芯となる考え“想い”だと思っています。
想いが強ければ強い程、それを実現させる可能性を膨らませる。しかし、これを非科学的と評することもありますね。でも考えてみてください。想いの無いことの実現に、誰が興味関心を示すでしょうか。実にシンプルなことだと思うのです。

利用者さんがつくる企画。これは欲求だらけ、まさに想いの塊。
もちろん企画書にはフォーマットなどありません。スタッフも口を出さない。制約無しです。

わかって頂きたいのは、主体は利用者さんであり、私たちが指図することではないということ。重要なことです。

さて、
今から7年程前。利用者さんの家族とスタッフとの雑談から生まれたその企画は、「保険外バスツアーwith家族」と題されました。多数の賛同者を巻き込みながら計画が進む中、途中参加されていたAさん夫妻(利用者さん家族)は次第に計画の中心的役割を果たしてくれるようになりました。
Aさん夫妻は、家族で温泉旅行に行きたいという強い想いを抱いておられました。しかし、家族だけでは不安ばかりで自信が持てず、旅行に連れ出すなど考えもしなかった(後日談)。かすかな希望は、諦めという負の力にかき消されていたのです。

私たち、介護に携わるプロはそのかすかな希望を、強い想いへと導くことが役割だと思っています。「ほら、できたでしょ」を共にして、「できるんだ」を実感してもらう。精神的な支えとなれれば、その役割の大部分を果たしているのではないでしょうか。

実は。
Aさん夫妻は企画の最中、ご家族だけで温泉旅行を実現されたのです。これには驚きと共に嬉しさが込み上げました。Aさん夫妻の想いは、我々の整える環境を必要とすることなく、自らの行動によって叶えられたのでした。「一緒に企画している中で、自信が芽生えた」この言葉が私たちにとって最高の褒め言葉でした。悔しいのは、まだ当施設のプログラムとして実現させていないこと。また新たな想いを見つけよう!

”型”にはめる、その”型”には面白さを感じません。いつも通りや繰り返しに安心を求めるようでは、面白い事はできないと思っているのです。

想いは型にはまらない。そう思うのです。