それは、利用者さんとスタッフ(介護福祉士)でヨーグルトづくりを始める時のことでした。
椅子でくつろいでいたおばあさんに近づく、ひとりのスタッフ。どのように”連れていく”のか見ていると。
おばあさんの前に立ち止まり屈んで、ヨーグルトづくりが始まることを伝えるスタッフ。
スタッフの声に反応して、手を差し出すおばあさん。
2人は会話をしながら、立ち上がり手をつないで歩き始めます。
些細な光景なのかもしれません。でも2人の関係があまりにも自然で、見ているこっちまで気持ちが温まるのでした。
おばあさんは、くつろいでいたと思いきや、自ら手を伸ばしスタッフの手を取り立ち上がる。
スタッフは、忙しいでしょうにおばあさんだけを見てる。
2人で歩き始めたその姿は、どちらが手を引いているのかわからない程自然な関係でした。
サービスを。
提供する側、される側。もちろんあるのだけれど。それを見せずに共に時間を過ごす、一緒になって楽しめる。それでいて、しっかりと目的は叶える。環境と関係づくりができるのは、まさにプロの仕事なんだと魅せられました。
後から聞いてみると、そのスタッフは20代前半。いたずらに時間をかけることが専門性を高めることではないんだと。既にある感性を活かすことも専門性を発揮できることなんですね。
連れていく。なんて言葉は、不適切でした。
看護は感性です。
私が、18才の頃から大切にしている言葉です。
私が看護師の資格を取った頃は、こんなに福祉は充実していなかったし、介護福祉士という職種もありませんでした。
今なら、冒頭の言葉を、"介護は感性です。"といえますね。
新人さんたちのフレッシュな感性。熟年者のプロフェッショナルな感性。
うまく重なりあってほしいものです。
よく、歩行見守りとか、手引き歩行という言葉が使われます。
私は必ず、手をつないで一緒に歩きます。
手からいろんな思いが伝わってきます。