【第6弾】介護サービスが変わる日　理学療法士／惣卜清光～かいごプロフェッショナル

専門性はひけらかすものではない。専門性は活かすもの。私の信念です。
「（証）みせて」って言われるのは、自動車免許証くらいでしょうか（多くの場合は善い行いをしてそう声かけをされることはありませんが。。）証明という意味では必要なものかもしれません。ただし、あっても活かせなければ“意味が無い”と考えます。

自動車運転の場合。
安全運転は、周囲の状況を捉え、自らの運転操作を的確に行うことから叶えるもの。周囲の状況を気にせず自分本位の運転を各々がしたら、どうなることでしょう。また巷では「ペーパードライバー」なる運転者が居ます。

～現に有効な免許を保有しているものの、普段運転することがない者や、運転する機会がない者をいう。略してペードラ　Wikipedia引用～

ペーパー理学療法士。冷静に考えるとゾッとしませんか。　
改めて考えたいのは「活かすことに意味がある」ということです。

日常でこんな光景を目にしたことはありませんか。
「やってくださいね～」＝伝えた側
「・・・やれって言われたからやるけども」＝受けた側
こうやって文字にするといかにも一方的でおかしなコミュニケーションに気づきそうなものの、日常の中でお互い悪気も無しに、このようなやり取りになってしまっていることは少なくありません。他にも専門用語を用いて伝えたつもりになること、専門職にありがちな落とし穴ですがこれも共有されたことにはなりません。

さて、逆に共有されていたらどうでしょう。
場所や時間。サポートしてくれるスタッフなどの周辺環境の制限無く、自発的に取り組むことが出来るかもしれません。生活の何気ない動作と紐付けてあげれば、意気込んで「さぁ！やるぞ！」と、精神的にも体力的にもストレスを軽減出来るかもしれません。その人の好きなこと（手芸や描画、登山や釣り、旅行や麻雀等々）であれば、やり続けることが出来るかもしれません。意味を見出すこと、意味を込めること。本人の自立欲求と今行っていることが、繋がっていることをきちんと示す。これが、意味を共有する専門職の姿だと思っています。

整理します。

• 思いの共有
  スタッフみんなが大切にしたい考え方の下に同じ思いで居ること。利用者さんやご家族の思いを知ることです。

• 専門性の共有
  職種だけで人を見るのではなく、性格や経験も活かしながら支え合える仲間が必要です。誰にでも得意分野があるものです。

• 成果の共有
  経験は未来のために活かすものです。成功だって失敗だって全てを糧に。介護サービスはひとつとして同じ事象は存在しません。だから難しい、だから面白い。

これからの介護サービスは更に個別性が増すものと考えられます。
各々が望む時間の過ごし方や住み慣れた環境の違いに対応したいと思うと、それに正解などありません。それぞれの介護職、介護施設がサービスビジョンに基づいて励んでいくことと思います。
私どもの考え方は、「利用者本位」です。利用者さんひとりひとりが抱くその思いを如何に実現させられるか。介護はひとりのスーパーマンが成せるものではありません。多様な職種と連携し、時には同職種でも違う目線（積んできた経験）を持つ仲間との協働で行われます。利用者さんが抱える、心の課題、身体の課題、生活環境の課題等々、それぞれの課題をそれぞれのプロがサポートし合うのです。

だからこそ、情報の流通はとても大事。健全な場所では自然と情報が行き渡るものです。
介護現場で働く様々な職種は、それぞれが専門分野のプロフェッショナル。ヘルパーの方々だって同じです。「ヘルパー“さん”にやっておいてもらおう」私はこういう呼び方、考え方が許せません。意味の共有が無い働き方は、誤解を招き、達成感を削ぎ、やりがいを失わせることに導いてしまう。そもそもそんな仕事楽しくない！と思っています。だから、健全な職場を整える管理職は大切な存在です。雑用なんて意味の無い仕事は介護現場に無いんです。

今、介護は多くの人々に求められています。が、残念ながら介護サービスの本来の姿を理解して利用している人はまだまだ少ないのが現状です。そして、益々このニーズが高まることは必至です。介護サービスの本来の姿を、また各専門職が持つ専門性の認知を広げるために。介護サービスを提供する豊かな“環境づくり”をする現場を見てもらい、介護サービスの質を高めるべく職種間や施設間、共に過ごす地域の中で情報を流通させる“関係づくり”を実現し、そして介護サービスを提供する我々スタッフの存在が伝えられるように“人間づくり”を続けていきます。

介護本来の姿を伝えるのは我々以外の誰でもありません。現場の実践を通じて、多くの仲間で思いや魅力を発信し続けたいと思っています！

医療法人財団　天翁会（東京都多摩市）