「介護ってなんでしょう?」
「何一つ同じことが起らない、クリエイティブな仕事だよ。」

介護男子スタディーズプロジェクト発起人の1人である、飯田大輔さん(社会福祉法人福祉楽団)は介護現場の仕事をこのような言葉で教えてくれた。更に重ねた言葉は、

「残念ながら今は未だ。“介護=クリエイティブ”と、仕事をイメージさせるだけの情報が十分に無いんだよね。」
「だから僕たちは、世の中で既にクリエイティブな仕事をしている方達に力を貸してもらいながら、共に介護の仕事がクリエイティブなんだってことを表現したいと思ってる。」

2015年11月11日。介護の日。

六本木。IMAコンセプトストアの一角で開催されたイベント。「介護男子のリアル」は、スタイリッシュな雰囲気の中で盛大に開催された。多くの報道陣が集う中、介護男子スタディーズ(書籍)に写真掲載された介護男子たち17名が介護のリアルを語る。少し緊張の面持ちであったのは、会場が醸し出した雰囲気からだろう。介護のプロフェッショナルでさえ、「ここが介護を語る場なのか?」と戸惑うほどの意外性を感じさせる場となった。

介護のリアルを伝えるために。

事実を捻じ曲げてでも、介護をクリエイティブに魅せよう。では、決して無い。介護男子スタディーズのコンセプトは「切り取られた日常」である。
書籍に論説を執筆した、山根純佳さん(実践女子大学人間社会学部准教授)、堀田聰子さん(国際医療福祉大学大学院教授)は、介護男子17名が感じる介護のリアルをトークセッションで引き出す。
「事前に打ち合わせの一つもない。」と前置きされて始まったセッションは、全てがリアル。介護男子たちは、掲載された自らの写真について、どのような状況で撮影されたのか?撮影されてみてどう感じたか?等、促されるままに話し始めた。

中でも印象的だったのは、
「現場では、常に笑って過ごしているつもりだったけれど、一枚の写真に切り取られた僕の表情は真剣そのものだった。」
「なんで笑顔を載せてくれないんですか?」と、会場の笑いを誘いながらも彼は話を続ける。「共に写るおじいちゃんは、しっかり話ができる方なんです。話すことに真剣になっていた、そんな表情ですね。」
同じ時は二度と無い。本人にさえも意外性を感じさせる、まさに一回性の仕事が表現される物語であった。

これから益々必要とされる介護。明るい話題ばかりではないこのテーマに、介護男子スタディーズはたくさんの可能性を魅せてくれた。
「介護って~~なの!?」という、前向きな意外性を更に次へと繋げていきたい。