私が中学に入った頃、母方の祖母が自宅周辺で交通事故に遭った。
その後、認知症症状が出るようになったのでした。当時はまだ「痴呆」と言われている時代。せいぜい「アルツハイマー」と言う言葉が出始めたばかり。勿論、老人ホーム・ショートステイ・デイサービスなどはまだ極僅かな数しかない状態だった。

祖母は、お兄さん夫婦と共に離れた土地に住んでいたが、子供の頃から頻繁に会っていた。
夏休み。祖母が泊りに来た。
足腰は元気になっていた祖母は、既に火の始末や徘徊などが認知症の周辺症状として出ていたことから、日常目が離せない状態となっていた。ある食事の際。目の前にある料理、出てくるものをどんどん手掴みで食べ始めた。私は、「おばあちゃん一緒に食べようよ。」「おかあさん!おばあちゃんがもう食べてる!」そんなことを言ったような気がする。
また、夜には私の部屋に泣きながら入って来て、自分の子供を心配していると、話していたことを覚えている。

今、介護の仕事を通し、認知症の方と関わることは多い。当時のことを思い返すと、我ながらおかしな反応・対応(言葉の切り返しなど)をしたと思う。それが、私の認知症者に接した初めての出来事であり、貴重な経験、思い出となっている。
でも不思議とその時は、子供ながら初めての出来事に対して、新鮮に自然な対応をしたのだと思えている。学校で学んだり、仕事での体験を通し、知識を積み重ねると職員として、認知症の方に対して、理解(わかる)・対応できるようになるのは勿論だが、サービスを必要とするご家族にも同じような時・対応・体験があるのではないかと思うと、それらを共有し合って取り組むことの大切さを感じる。

子供の頃の体験ではあるが、その時のこと。その時感じたこと。私の中に芽生えた気付きも含めて、無駄にしたくないと思いながら今の仕事に活かしています。