入所して一ヵ月。奥様が面会にいらっしゃいました。
「ご主人は昔、理科の先生をしていたのですか?」と話しかけてみました。
奥様はしばらく考えてから、
「そういえば、若い頃、一年くらい先生をしていたことがありました。」と、驚かれたように答えてくださいました。続けて
「なんでわかったの?私だって忘れていたことなのに」と、不思議そうでした。

ご利用者は、いわば寝たきりで言葉を発することはあまりありませんでした。ただ、少し頷くとか、目の動きで反応がわかるくらいの方。
「どんな方でも、少しの反応を見て、その方を知る事ができる」
私たちの情報源は会話だけではありません。言葉は発せなくても、日々介護の中で目の動きを見て、その人と会話し、その人を知る事ができる。知ることのすべては介護に活かせます。