医療法人社団勝優会が運営する、ホスピタルケア白金高輪は港区にある住宅型有料老人ホームです。
今回特集するのは、藤原圭希さん(訪問看護認定看護師)です。

プロフィール
看護師(訪問看護認定看護師)、保健師、介護支援専門員
大学病院勤務、訪問看護管理者を経て現在に至る。

#1「在宅で働くことを選んだ看護師が考えること」

とある大学病院に勤めていた頃、ガン性疼痛に顔をゆがめる患者さんと出会った

病院の一室で看護師は医師の指示のもと、少しでもその痛みを和らげようと点滴や薬を施す。一時的に痛みは去るものの再発するたび施される医療に、患者さんの表情には疲れが見えはじめていた。
ある日、痛がる患者さんを見た私はそっとその患部に手を置いた。隣に寄り添い、擦るように手を当て続けていると患者さんは次第に穏やかさを取り戻したのだった。痛みを取り除くにも幾つかの方法がある。点滴や薬を要する場合もあるし、タッチングのように安心感を与え痛みの閾値を下がるように意図して行う場合もある。相手の要望や状況に応じて私たち(看護師)は行動を選択しながら患者さんと関わることができるのだ、と教えて頂いた。

ご本人とご家族はこの時間をとても喜んでくれた。私にとって印象深い出来事である。

看護、介護を必要とする人に私は看護師としてどの様に向き合えばいいのか

向き合う相手の状況に適した関わり方が必要だと常に考えている。

在宅とは生活の場であり、利用者さんが主である。我々の住宅型有料老人ホームでは過ごす時間は全て自由。ご自宅の居心地の良さをそのままに快適な安らぎのある暮らしをご提供する。当たり前といえばそうなのだが、施設となると運営側の都合に利用者さんが合わせなくてはならない事情も聞く。
我々は今まで当たり前だったことを当たり前にしてもらえるように関わりたい。そのためにひとつは、利用者さんが「どのように過ごしたいか」いう望みを叶えること。もうひとつは、「どのように過ごせば、本人の持っている(隠されている)力を引き出していけるか」を日々試行錯誤することである。

在宅への道を選んだわけ

医療機器の少ない環境下で「手」で触れ、療養者の声を聴き、五感を生かしてケアすることが、私の考える看護師の姿だった。長い時間をかけながらその人の人生に関わり続けることのできる在宅という場所に私は興味を持ったわけなのである。
ここにはたくさんの可能性(思いや希望を叶える)がある。多様な可能性を支えるためには関係者との連携が欠かせない。ヘルパー(訪問介護員)、ボランティア、ケアマネージャー(介護支援専門員)、リハビリスタッフ、医師、薬剤師、管理栄養士、事務職と我々看護職。そして忘れてはならないのは、ご家族にも役割を担って頂くことである。
多くの利用者さんは家族と共に過ごす時間を望んでいる。一方ご家族も、利用者さんのためにできることがあるとわかれば嬉しそうな顔をされる。 “私たちにもできることがある”双方がそんな些細なことに気付くのは大切なことなのだ。

利用者さんの生活にはたくさんの人が関わっている

日頃の介護疲れから休めるようにと当施設を利用する方もいる。あらゆる事情をお互いに理解し合いながら生活を送っている。時には思いが揺れ動くこともある、どんなことがあったとしても「これでよかったんだよね」と、ご本人・ご家族が思って頂けるように生活を支えるのが我々の仕事だと思っている。

お互いに理解をし合うことの大切さ。お互いとは、利用者さんでありご家族でありそして共に働く他職種のことである。

藤原さんが働く場所

医療法人社団勝優会 ホスピタルケア白金高輪