医療法人社団勝優会が運営する、ホスピタルケア白金高輪は港区にある住宅型有料老人ホームです。
今回特集するのは、藤原圭希さん(訪問看護認定看護師)です。

プロフィール
看護師(訪問看護認定看護師)、保健師、介護支援専門員
大学病院勤務、訪問看護管理者を経て現在に至る。

#2 「お互いが理解し合うために何が必要か」

今、地域の方々が医療・介護に求めているものが3つある

1つ目は「安全で安心であること」、2つ目は「質が高いこと」、そして3つ目が「わかりやすいこと」である。果たして医療・介護に従事する専門職は3つ目の「わかりやすいこと」にどれほど意識が向いているだろうか。

誰でもわかるように

筆者は先日「認知症の見立て」と題された勉強会(主催:株式会社あおいけあ 講師:上野秀樹先生)に参加してきた。専門職ではない筆者を受け入れてくれる寛容さには有り難く感謝するばかりだったが、それにはキチンとワケがあった。

会話には何1つ難しい言葉が無い。話は全てシンプルだった。
専門職はどうせ難しい言葉を使うのだろうと思っていた。特別な「見立て」をするのだと思っていた。でも違った。ごく普通の生活者視点を大切にわかりやすい言葉で話された。
専門性とは伝わらなければ活かされないのだと改めて実感した。難しいことさえもわかりやすく伝えることのできる専門職が必要だとも思った。

前置きは長くなったが今回のテーマは「誰にでもわかる」である

「わかる」を3つの観点で整理したい

1つ目は「数値化」である。(わずか)(もう少し)(まだまだ)には、個人の主観が入っており相手に意図を伝えるには正確さに欠ける。特に“時間”ははっきりと伝える必要があり間違いがあってはならない医療・介護の現場では24時間表記を原則とする。
2つ目は「具体」である。同職種内で用いられる専門用語は他職種と情報を共有することに適切ではない。共通言語は用いる人以外を排他(仲間外れ)にする。つまり知らないのであれば話についてこられない、知らないことが悪いとしてしまう傾向にある。現場で働くスタッフは並列であるべきであり、上位も下位も無い。一方的な伝達では協働出来ないのである。
そして3つ目は「教える」ことである。何がわかって何がわからないのか、基本的な状況を理解することが先ず必要である。その為には、相手の立場になってみようとする“共感”する姿勢が求められる。看護職であれ介護職であれ、利用者さんに向き合うことに何ら変わりはない。お互いのよいところを活かし合うために、お互い教え合う必要があるのではないだろうか。

言葉と意思は時にゆらぐ

人の最期を迎えるとき、人は平静でいられなくなる。特にご家族となると、ゆっくりと時間をかけて覚悟ができているように思えてもいざその時を迎えるのは辛く受け入れ難い。「救急車は呼ばない、病院には連れて行かない、管をいれない」と決めたものの医療にすがりたくなる気持ちもよくわかる。だからこそ、その時を迎える準備の中で「わかる」ように働きかけることが大切なのだ。ご本人が、ご家族が何を大切にしたいのか、それを支えることのできる看護師でいたい。

井部俊子さん(聖路加国際大学 名誉教授)が認めた“看護のアジェンダ(医学書院)”149回のタイトルは「本当の看護を求めて」であった。(以下引用)「管理者は本当の意味で「事例から学ぶ」仕組みを立ち上げなければならない。できるだけ早く。手遅れになる前に。」

とある。
今、看護師は働き方を見直すよい機会に巡り合せているのかも知れない。

藤原さんが働く場所

医療法人社団勝優会 ホスピタルケア白金高輪