医療法人社団勝優会が運営する、ホスピタルケア白金高輪は港区にある住宅型有料老人ホームです。
今回特集するのは、藤原圭希さん(訪問看護認定看護師)です。

プロフィール
看護師(訪問看護認定看護師)、保健師、介護支援専門員
大学病院勤務、訪問看護管理者を経て現在に至る。

#8 「好かれる看護師」

看護の力

看護師ってどんな仕事をしている人なんだろうと関心を持った時に出会った本が「看護の力/川嶋みどり著」であった。書き出しの文面から強く惹きつけられた。”弱い人、困っている人を助けたい、誰かの何かの役に立ちたいという思いは、誰もが共通に持っているのではないでしょうか。 <中略> ケアは決して一方通行ではありません。”そして、ケアは提供者と受け手との相互作用によって成り立つと記されていた。

一方で、困っちゃいるけど他人様の世話になどなりたくない。というお年寄りや体の自由が効かない方々も大勢いる。そんな中で看護師は如何にして「相互作用」をつくりだすのだろうか。

今回は、訪問診療へドクターと共に同行した看護師:藤原さんの様子から看護の力について感じたことをお伝えしたい。法律(保健師助産師看護師法)によって規定されている看護師の二大業務は「療養上の世話」と「診療の補助」である。どちらもその通りの文言なのだが、現場を目の当たりにするとどうもしっくりこない。看護師は不思議な力を持っている。

ご自宅へ帰ることが出来たご利用者さんのもとへ

医療法人社団勝優会 ホスピタルケア白金高輪※住宅型有料老人ホーム に入居していたご利用者さんは、容体を安定させ自宅に帰ることができた。仲の良いご夫婦はご自宅で2人一緒に過ごす時間を選ばれた。以降も訪問診療によってケアは続けられている。

そんな中、不安な一報が入った。ご入居されていた奥様の排尿が上手くいっていない様子。訪問看護のサービスは別事業所で契約をしているはずなのだが、改善みられずこの数日間不安が続いているとのことだった。この日は訪問診療に訪ねる予定があったため、入居中ケアをしていた藤原さんも心配で同行することにした。

ご自宅での生活を継続するために

移動中「うまく入るといいんだけど。」と心配を隠さない。ご夫婦が望んだ自宅での生活が長く続けられるように、何ができるのかをドクターと共に考えている。時折、入居中のご夫婦との思い出も語ってくれた。関われることが本当に楽しかったのだろうと容易に感じさせる。藤原さんのご夫婦を思う気持ちは強い。

「えー!藤原さんだよ!来てくれたの!」

出迎えてくれたご主人の第一声がこれだった。
満面の笑顔と肩を抱き寄せる仕草を見ただけで、こちらまで嬉しさが伝わってきた。奥様の容体が思わしくなかったこの数日のことを思うと、ご主人は心配で仕方なかったのだろうと思う。そんな心持の人を、ひと時でも晴れやかな気持ちにさせる藤原さんの存在が不思議だった。

奥様の処置は無事に済んだ。
ご主人はホッとした様子でこの数日間の心配事について話してくれた。丁寧に話を聴き、ドクターは行なった処置と所見、そして今後の過し方についてわかりやすく説明をされていた。中でも「美味しいものをたくさん食べて下さいね」という言葉にご主人は安心したようだった。

2人の顔を見ただけで嬉しそうな表情を魅せたご主人。もしかすると、奥様も2人が来てくれたから医療的ケアを素直に受け入れられたのではないかと思ってしまう。行なわれていたケアは確かに相互作用が成り立っていた。

相手のことを思い遣る気持ちが大切なのだと感じる訪問だった。その礎は時間をかけて築きあげてきた賜物だと思う。
訪問後、施設へご主人から御礼の連絡が入った。ホッとされたことを聞きお伺いしてよかったと副施設長と共に喜んだ。

仲の良いご夫婦の馴れ初めを少しだけお聞きした。ご主人が奥様に惚れ込んでご結婚されたのだとか。誰かを思い遣る気持ちはどんな時にも大切なのだ。

藤原さんが働く場所

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