「主任聞いて下さい!いいのを見つけましたよ!」

興奮して頬を赤らめた栄養課の職員が声をかけてきた。
「これでペースト食ではなく形のある味の変わらない美味しい食事が入居者さんに食べさせてあげることができますよ。」嬉しそうに話す。

あまりに興奮しているので何を言っているのか分からない。

取りあえず指定されたyoutubeをみた。
それは野菜、魚、肉が味も形も変わらないけどペースト食のように柔くなる
「凍結含浸法」という調理方法だった。
私もスプーンで潰れていく筍の動画を見て「いいね!これ」と手を握り合った。

ペースト食は何をミキサーにかけているのか匂ってみないと分からない。
見ただけで食欲が失われてしまう。
一生懸命に味に工夫をしても魚は生臭くなってしまう。

不味い。

安全の為だと分かってはいるのだけど、
栄養課の職員を始め、どうにかならないか、ずっと悩んでいた。それだけに、この朗報に狂喜乱舞しているのである。

この方法は特殊であり色々な材料で調理時間等を変えなくてはならないため難しい。
しかし栄養課職員が
「美味しい綺麗な柔らかい食事」の実現に向けて頑張って取り組んでいる。