昼食前と、昼食後から送迎までの時間帯に、しばしば、帰宅願望が見られます通所リハビリテーションのサービスを受けられているA氏(80歳女性)の帰宅願望減少のため、バス停を設置し待合室を演出して安全に見守りをしようと試みました。
結果は、初めの2週間はとても有効でしたが、その後、効果がだんだん少なくなってきたため、ケアミーティングを開きました。

~ミーティングの結果~
①バス停設置後はスタッフもその効果が気になり、A氏に頻繁に目配りや声かけを行っていたが、効果が見えると、安心してしまい、バス停の場所とバスの時間を案内するだけになってしまった。

②結果的に、A氏が相談しても、スタッフはバス停の場所と送迎時間を言うだけで、きちんと対応してもらえないという気持ちになり、帰宅願望が出現した。

③今後の対策として、本人が帰宅したいという気持ちにもっと寄り添うなら一緒に外出したほうが良いのではないか?

意見がまとまり、早速ケアの実践です。

スタッフのBさんは、A氏と目が合うとA氏のお決まりの場所(バス停付近)で世間話をしました。
「Aさん、そろそろ、祭りの時期ですね。Aさんも良く祭りに行ってましたか?」
Bさんが会話を終え、5分ほど経過した頃、A氏が施設玄関に向かい始めました。

今度は、Cさんが声をかけ
「どこに行かれますか?」とA氏に尋ねました。
すると、A氏は
「近くに祭りが来てるっていうから」という返答。
Cさんは、A氏に優しく微笑み、
「そうなんですね。それはすごく楽しいでしょうね。私も行ってみたいからご一緒してもいいですか?」
A氏「いいわよ。一緒に行きましょ。」

一緒に外出し、駐車場を歩き、3分ほど祭を探し、
Cさん「祭り来てないですね」、
A氏「本当ね、残念だわ・・・」

Cさん「本当に残念ですね。けど、Aさんと一緒に散歩できたので良かったです。」
A氏は笑顔で「ありがと。」

Cさん「Aさん、私とても寒くなってきました。」
A氏「本当ね、風が強いわね」
Cさん「手や顔もほら、こんなに冷たくなっちゃいました。」
A氏「寒いね」
Cさん「私が温かいお茶を入れますので、部屋に戻って一緒に飲みましょう。(A氏の手を両手で握り温めながら)」
A氏は「うん」
と優しくうなずき、満足そうに施設へ戻っていきました。

その後、送迎まで帰宅願望は見られませんでした。