ユニットに最近、入居してこられた方で気難しく、
前の施設でも、なかなかコミュニケーションが困難であった。
と情報のあった方でした。

家族とも疎遠であり子供さん達は
「母に大変苦労をかけた父でもあるし、自分達にも迷惑をかけられっぱなしだった」と、
あまり関わりたくないといった感じであった。

そんな中、奥様の病状が悪化し入院され、危篤状態に陥られた。
末娘さんは亡くなる前に一度だけでも会わせたいとの願いであったが長男様がしぶられた。

何度か面会に行く中で、子供さんたちの気持ちを聞きながら「後悔されないように」とだけお話しをした。
長男様の気持ちにも変化がみられ、面会に行くことになり認知症もみられる本人様が奥様の手を握り、しっかり声かけられた。
しばらくして奥様が亡くなられ葬儀の話になり、長男様もご本人の葬儀の出席に納得され、職員の同行のもと参列し、しっかりと、お見送りされた。
そんな姿を目にされてからは、奥様の49日へと出席にも、長男様も同意され面会に来られた時も、入居当時よりも笑顔で会話されるようになった。

娘様は、本人様と長男様の関係が良くなったのも、
「面会や葬儀につれてきて頂いたお陰だ。ありがとうございます。」
と感謝の言葉をいただいた。

私達は特別な事をした気持ちはなく、
「面会されたいだろう、最期くらいは、会わせたい、お見送りをして頂きたい」
と考えただけである。
そんな思いの中、感謝の言葉を頂いたことは、嬉しかったし、
「何かをする」ということではなくて「思いに寄り添い、一緒に考える」ことだと思った。