ご入所されているご利用者の方のお話です。
別のフロアから転棟してこられADLは全介助。

女性職員が声かけを行うと目を開け短い会話での意思疎通が可能。
お話しされている。
そこで、私(男性)が声かけをする。が、目を閉じ何も反応されませんでした。

それから私の中で何としてでも、この方とお話ししたい!
という気持ちが強くなり出勤時には、一日のうちに何度も声をかけるようになった。

最初は声をかけると顔をしかめられていましたが、日が経つにつれ目を開けてもらえるようになり、名前を呼ぶと「はい」や、挨拶すると「おはよう」「こんにちは」と返して下さるようになりました。

ある日、息子様から届いたハガキを、一緒に読ませて頂きました。
昔、ギターを買ってもらいとても嬉しかったこと。
福岡の広島風お好み焼きが美味しかったこと。
以前その方が働かれていた職場のこと。
など書かれており、その方も昔を思い出されたのか、
うっすら涙を浮かべられていました。

そのことを境に、
声をかけると目をしっかり開かれお話をして下さるようになりました。
また嬉しいことに、その方から話かけてこられ、
「・・・今、俺に話かけてきたんだよね?」
と一瞬驚き「何ですか?」と尋ねると
「あなたのお家はどこなの?」と話されました。

その瞬間、私は嬉しくて嬉しくて。

この職業をしていて、
このような出来事が一番の励みになり幸せな瞬間だと実感しました。
ご利用者の方も知らない人から介助され、
「何をされるのかわからない恐怖」に思われている方もいらっしゃると思います。

最初にできる事は「声かけからはいるコミュニケーション」
だと私は思っています。
今後も声かけを大切に、ケアを行っていきたいと感じました。