Aさんは寝たきりであるが認知症ではない。ただ、少しの物忘れはある。
奥様は、ほとんど毎日面会あり。ご本人、奥様は色々と意見要望も明確にお持ちだ。
そんなお二人が気になられてるのは、その日の夜勤者だった。
毎日のように“今日の夜勤者はだれ?”と日勤者に聞かれる。
私は理由がわからない。「なんでだろう?」と気になっていた。
ある日、Aさんが私に話しかけてきた。
Aさん「夜は夜勤者次第で寝れない。困っている。」
私「どうされましたか?」
Aさん「喉が渇いて寝れないんだよ・・・。」
私(そういうことだったんだ!)
ご本人と奥様とよくよく話を伺ってみると、
『寝てるのを起こして水分補給してもあとは寝れる』と。しかし、自分でナースコールをして水分補給をお願いすると、後が寝れないと言われた。
スタッフ間では、わざわざ寝てる人を起こしてまで水分をあげる必要はあるのか?と意見があった。もっともだと思ったが、Aさんの不安を少しでも解消できるならと、要望に応えてみることにした。
最近、Aさんと奥様から、「あなたのお蔭で安心して寝れる」と感謝の言葉があった。
私はうれしかった。
Aさんと家族と日々コミュニケーションをとることで、信頼関係を築くことができた。
そして、感謝の言葉が得られたことは、私を更に頑張ろう!と思わせてくれた。
「わざわざ」は、誰にかかっている言葉なのか。を考えたいですね。
利用者さんにとって、安心できる環境づくりを目指すのか。
スタッフ側にとって、ケアし易い環境を目指すのか。
勿論どちらも利用者さんのためなのでしょう。
が、少しだけ視点を変えるだけで、大きく成果・満足が高まることを実感します。
「誰にとって?」は、とても大切なキーワード。
賛否両論。よく分かります、難しいテーマですよね。
ご自分から要求できない高度の認知症の方や寝たきりの方には、こちらの方から「わざわざ」飲んで頂かないと、要らぬ病気で、かえって苦しませてしまいますもんね。
ケアをする上で本人様の意思を尊重しなければならないとは分かっていても、いつまでも安定・安楽に過ごして頂くためには、健康管理も大事なことですし。
お預かりしている私達が在宅と同じような事で済ませてもいけない、本当に「これで良いのか」と色々な場面で考えてしまいますね。
ただ、その中で同じ事をしても、その方が苦痛に感じないように声掛けやケアをして行くことが大切だと思います。
本人様やご家族の「声」に耳を傾けて周りから色々言われるかもしれない状況の中で実践し信頼を獲得されたのは凄いと思います。