もう、五年も前の話になります。

この利用者さまとの出会いは前に勤務していた"私にとって初めての老健"でした。
全身を炎症性動脈炎で侵され、残存機能は、聴力、二人介助の移乗ができるくらいの下肢筋力。左手を上下できる。意思はあり、尿意、便意はある。歌が好き。でした。反対からいえば、声は出るけど、発語はむずかしい。全盲。進行していく病。ラジオはきけるけど、そのとき感じたことを話せない。孤独。

介護士のmommoさんがいってきました。
この方は自分の意思がある。どうにか意思を感じとりたい、どうしてほしいのが知りたい。具合が悪いとき、きついとき、知らせてほしい。そう思い、色々考えた結果、鈴を持たせたいんです。
見せられた鈴は小学校の音楽でつかうものですが、筋力の弱い利用者さんが、振りやすいように、鈴を減らし軽くしてあります。音も抑ええられるし、他の人が迷惑がらないようにとも考えていてそうです。
たくさんのリボンがついてます。すこし、離れたところにあってもひきよせられるように。
鈴を使うことをケアプランに取りいれてからの彼の行動はすばらしかった。利用者さんが、左手で鈴をならそうものならなら飛んでいき、

「もっと、腕をあげて、しっかり振るんですよ🎵」繰り返し伝えていきます。その後は他の利用者さんが、鈴がなってるよ~って教えてくれるようになりました。徐々に筋力も落ち、鈴がなかなかつかめないこともでてきましたが、彼はあきらめません。私に病状を聞きに来て、また鈴に工夫する。
鈴が持てなくなったとき、彼はほんのり涙を浮かべ、次は手を高くあげることを教えていました。私はその手が挙げられたら、顔を見て体調が悪いのか、トイレなのか、判断して彼とともに、仲間を増やしケアを続けてきた。
定期的に病状を説明していくのも私の仕事。病状を定期的に伝えることにより、次々とケアのやり方を変えていく。利用者さんにあったケアを。
何があったら、異常なのかを 知らせて おくだけて、私に次々と報告が入るので、私も早期に医師につたえられれるから、重度化しない。

この笑顔。みてください。全盲で聴覚と左手の機能しか残ってない難病の人に見えますか?
介護士と看護師の力がひとつになったとき、素晴らしい力がうまれるんですね。