『かいごプロフェッショナル』 第三弾は、
医療法人社団 珠泉会(東京都昭島市)
介護福祉士 浅賀純さん

一目会った相手に元気を与えられる方とは、浅賀さんのような方のことを指すのだと思う。とにかく前向き、ポジティブ思考。「人が好き」と話すその言葉に微塵の偽りも感じさせない。

浅賀さん

“経験”という名の“引き出し”

介護福祉士になって20年

今は、現場だけでなくマネジメントの役割も担っています。所属は「人財開発部」。人財の採用や広報活動もやっています。でもついつい現場が気になってしまう私。現場が性に合ってるんですね、好きなんです。でも、決して自己満足で仕事をしているわけではありません。役割がありますからね
人財開発部では、人の育成にも力を注ぎます。がしかし、育成とはおこがましい限りで私が心掛けるのは“機会の提供”です。人は育てるものではない、勝手に育つのです。だからこそ、どんな環境の中で育つかは重要なことだと思っています。それを整えるのが役割ですかね。
大切にしているのは“やって魅せる”こと。どんなに素敵なことを言ったって、結局“相手は、よく見ている”、行動から情報を得て学んでいますよ。善いこともそうでないことも。それはスタッフだけではありません。利用者さんも、“よ~く見てくれていますよ”私の姿。

そうそう。人ってそんなもんだと思いませんか?「人のふり見てわがふり直せ」「人こそ人の鏡」「上手は下手の手本下手は上手の手本」先人たちは本当に上手く言い表しますよね。
私は「人」が大好きです。人に関わる事がとても楽しい。こんな私が選んだ仕事、それが介護だったわけです。介護という仕事では人を欠かすことが出来ません

大変だと感じるのは、感情と感情がマッチしない時

介護は大変な仕事だとよく言われます。大変ですよ、本当に大変。でも、何が大変かって話には及ぶことが少ない。“オムツ交換?”全然大したことじゃない!“相手が認知症?”認知症のことを知らないんだなぁ~、とこんな程度に思っています。
介護という仕事で感じる本当の大変さとは、感情がぶつかり合うその時。私はこう思っています。
介護サービスを利用する側も提供する側も、人。感情を持っていますね。人は自らの過してきた時間の中で感情を学びます。泣いて生まれたその時から、たくさんの時間をかけてたくさんのことを感じて過ごすのです。みんながみんな、同じ時間を過ごすわけではない、つまり同じ感情を持たない人が居るのは当然です。そんな相手に出会った時に“自らが持ち得ない感情をわかろうとすること”、これこそが大変さだと思うのです。

経験を重ね続ける

わからなかったことがわかる。私はこれを楽しんでいます。なんでも面白がってやってみるんです、思い込みを持たずに。そうやって経験して得たものを私は「引き出し」と呼んでいます。引き出しが増えれば増えるほど、自分の幅が広がる感覚を持っています。私が介護に携わる方を見ていて「仕事が上手いな~」と感心させられる共通点があるとすれば、この引き出しの多さですね。利用者さんと向き合ったその時、その場面。“さぁ、どの引き出しを開けようか”これがまさにプロ!
我々は、利用者さんとその生活に向き合います。生活という時間の長さを忘れちゃダメです。介護サービスとは、一時的な利用で成果が得られることばかりではないのです。成果が見え易ければ、成果を生む為に行っていることが「専門性」だと認識されるでしょう。でも、介護は見えにくい。生活という長い時間に向き合う介護は、とても幅広い対応(さながらオールマイティ!)が求められるのです。
これは私の持論であり、こだわりなのですが。

一、何が起こるかわからないことに挑む。(決まりきったことばかりでは窮屈、退屈・・)
一、全てのことは自らが決めている。(誰かのせいにしない!言い訳をしない!)

介護は、これができる仕事です。これができると楽しいんです。これを苦労ととるか魅力ととるか。
「私は、オールマイティという専門性の高さを有する介護に、魅力を感じています。」
みなさんは、どのように感じるでしょうか?

そして。
叶わないことかもしれませんが、私にはひとつの思いがあります。
それは、人が終焉を迎えるその時。思い浮かべる顏の1つが私であったら、と。「人の記憶に残る」それが本当の意味で介護に携わる者のひとつの成果なのかもしれないと思うのです。

魅せたいお店に一緒に出向く

職場での関係も重要ですが、たまには息抜きも!ざっくばらんに話ができる環境ということで、食事に連れ出します。
そんな時出向くお店は決まっています。それは、私が心地よさを感じる通い慣れたお店。店員さんのさりげない気配り・心配り、過し易い店づくり、行き届いたサービス。この経験が彼らの引き出しになってくれればと、思って続けていることです。(まぁ飲みたいだけなんですけどね!)

兎に角楽しんでもらいたい!

楽しさを感じるのは、各々本人ですから。利用者さんも、スタッフも。私はその“主体性”を常に大切にしながら人と関わっています。
たくさんの引き出しを仲間と共有しながら、私は今日も引き出しを増やします。

浅賀さんありがとうございました!
浅賀さんが所属する珠泉会さん、ご協力ありがとうございました!

医療法人社団 珠泉会