まだ介護技術が身についていない若かりし頃のことです。
夜勤中、ベッドの下方に寝ている利用者さんを上方に移動させようと思い、足を踏ん張ったその時!自分の足が「バキッ」と歪な音を鳴らしたのです。すぐに激しい痛みが襲ってきました。その日の夜勤はまともに仕事ができなかった苦い思い出です。

介護には学ぶべき技術があります。
私は、ボディメカニクスを学び“技”として身に付けて以降。一切身体を痛める事はありません。人間の自然な動きを学び介護動作に活かすことで、利用者さんに痛い思いをさせないはもとより、自分の身体を守ることにも繋がっています。

例えば、業務終わりの疲れ。無駄に力を使わないので、感じる疲れが軽減されます。また、一つの介護にかかる時間も短縮されます。決して、内容をないがしろにしているわけではありません。むしろ、利用者さんの不快感を示す表情は少なくなり、接する事を嫌がる方も居なくなりました。

技術は学ぶものではありません。活かすものだと思います。私の場合は、自ら身体を痛めた経験から「何かよい方法があるはず」と探し求めて辿り着いたのが、ボディメカニクスという技術でした。
今は自分の経験から身に付けた“技”を、更に後輩たちへと伝えていく事で、介護をする人の身体を守り、介護される人の苦痛を軽減させる環境づくりに努めています。