テレビで「特養への入所の待機者数について、どのように解決していくか」が議論されているのを観ました。
1つの案は、施設を増やす。すると、職員不足が今以上に深刻になる。職員の給料を増やせば、働きたい人が集まるのではないかということ。さて、果たして本当に集まるのでしょうか。更に、一番気になったことは、都道府県によって待機者数にばらつきがあること。(例えば、居室数に対して待機者を数値で表すと、地方で0.4人のところもあれば、4.0人以上のところもあった)
そしてもう1つの案。欧米などでは、高齢者を地方(待機者の少ないところ)へ移住させたりしているので、日本もそのようにすべきでは、と意見をされた方がいた。自分自身は、地域と密着し、地域と共にという考えで働いており、“住処を変える”ことの重大さに考えさせられるものがありました。地元だから住み慣れた風景、家族、知人と共に過ごした場所、もしくは近くでこれからも過ごしていきたいという利用者さんも多いだろうと思うのです。
しかし、テレビでは機械的に待機者をばらばらにすればいい(平均をとるために集中しているところを分散させる)みたいな発言をしていたわけです。これは残念で仕方がありません。
モノではなく「一人の人間」なのです。と強く訴えたい!
私は、私達は、利用者さんの今までの人生を汲み取り、その人らしく過ごせるような関わりをしていきたいです。
「可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように」と地域包括ケアシステムの構築を推進したり、新オレンジプランの「できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」との考え方の一方で、「高齢者地方移住」の議論がなされるのは、確かに矛盾しているように思います。
機械的に移住を強制されるようなしくみには反対ですが、本人や家族の選択と心構えの基に地方移住のしくみが整備されることは、多様な価値観をもつようになった現代の社会や人々にとって、老後の生活を考えるうえで、選択肢が増えることにつながるように思います。
キーワードは「自分らしく」であり、住み慣れた地域なのか地方移住なのかは、その人の選択と心構えによって決められることになるのでしょうね。
ちなみに私は、今住んでいる所が住み慣れた地域になり、最後まで暮らし続けたいと思えるよう、微力ながら自らこの地域をよくしていきたいと思っています。