〈介護士の掃除の兄ちゃん〉

たまに顔を出す息子さんに「母ちゃん、掃除の兄ちゃんが来たよ。俺は帰るから兄ちゃん、後は頼むよ!」と上から目線で言われる。
「どうも、掃除の兄ちゃんが来ましたよ!今日も宜しくお願いします。体調はいかがですか?」と一先ず場を和ませて仕事に取り掛かる。

サービス時間以内で掃除を淡々とこなす←ただの掃除の兄ちゃん
一方
サービス時間以内に掃除を淡々とこなしながらも、利用者の状態変化にいかに気づけるかアンテナを張っている。←これが介護士の掃除の兄ちゃん

例えば…
旬な政治の話をしながら、いつもと違いテレビは子供番組がついていることに「気づく」。掃除機を掛けながら、あえてその場を少し離れ様子を伺うと、楽しそうに見ている。←認知症高齢者は趣向が幼稚化することがある。

「寒いからお湯にしといたわよ。使ってね。」と言ってくれるのはありがたいが湯温が60度。
先週までは、40度位だったのにな…←判断力の低下も認知症の前兆。

などなど認知症が疑われるサインになりそうな事柄を記憶し記録する。

1日も長く住み慣れた家で、在宅生活を継続させる為に、我々訪問介護は…
利用者の出来ないところの家事を行う「生活援助」を行いながら、ADLはもとより、些細な表情、顔色、言動の変化のサインをいかに「気づけるか」
トイレ掃除でも、汚れが酷ければ便の調子が悪いのかな?なんてことも考える。

そして、事業所内で「気づき」を話し合い、更にケアマネや関係する事業所にも伝え情報共有し、進行を食い止める策を考える。
勿論、家族にも伝える。

息子さんよ、介護士の掃除の兄ちゃんは、掃除の他にも結構神経使ってるんすよっ!!
たまに顔出せるのも、介護士が頑張ってるお陰ですよっ!!