医療法人社団勝優会が運営する、ホスピタルケア白金高輪は港区にある住宅型有料老人ホームです。
今回特集するのは、藤原圭希さん(訪問看護認定看護師)です。

プロフィール
看護師(訪問看護認定看護師)、保健師、介護支援専門員
大学病院勤務、訪問看護管理者を経て現在に至る。

#3 「スタッフみんなでご利用者さんのことを考える」

多職種が働く現場だからこそ情報を共有することが大切

多職種協働とは、ご利用者さんを中心にして、医療・介護に携わる専門職がお互いの持っている情報を、生活の質を高めるために活かし合うこと。
今回は、ホスピタルケア白金高輪の定例ミーティングに筆者が居合わせて気づいた事をお伝えしたい。

集中して話す

11:00~働いている全てのスタッフが集まってくる。時間は30分。
ミーティングの鉄則は、①目的が達成されること。②時間内に終わること。である。簡単なことの様で難しい。逆を言えば、参加するメンバーが目的を認識せず、だらだらと時間だけが過ぎていくミーティングが巷には多い。ミーティングを仕切るのは藤原さん。この日のアジェンダのひとつは「亡くなった方との関わりを振り返る」ことだった。ご本人が元気なときから最期を迎えるまで、各々スタッフがお人柄とともに思い出を語りはじめた。

「弱い部分を見せてくれた時の嬉しさ」「生きたい力を見た」

その場に参加したスタッフ全員がその方との関わりを振り返った。スタッフの語りを聞きながら別のスタッフが共感の声をあげたり、付け加えるエピソードがあったりと話が広がる。振り返りは、目に見える様子または数値、数量と尺度のある定量的なことと、その時の相手が発する言葉やしぐさ、感情や考え方など定性的なことから行われる。

自立心の強い方だった。
元気なときは~できるから大丈夫~と自分の事はなんでも自分でされていた。しかし、ベット上で動けなくなってからは頼ってくれたという。スタッフの振り返りから「一緒にやれることが増えたことが嬉しかった」ことが伝わってきた。容体が悪くなってからも関わるスタッフに面白いことを言って笑わせてくれたりと相手への気遣いを絶やさない関わりが続いた。お互いが相手のことを思い遣っていたのだろう。

「サボりに来ました~!」と部屋に入ると「小さい声で話しなさい。ばれちゃうわよ。」とかくまってもらった事もあるとか(笑)。周囲のことによく気付き、気配りをされる方だった。
よく「死にたい死にたい」「もうじきの命だわ」とお話されることがあった。容体が悪くなってからは食事もうまくとれない状況もありスタッフとしては(経口摂取は難しいのではないか)と怖くなる場面もあったが、ご本人の意思「食べたい」を確認しながら実際におかゆを食べたり、飲み物を飲めたりできた。それは言葉とは裏腹に前向きで一生懸命な姿だった。今、やりたいことができて良かった。と思ってもらえる関わりができていたのだろう。

伝えること

藤原さんが最後に「○○さんとの関わりで学んだことを、今一緒に過ごしているご利用者さんに返していこう。」と話して、ミーティングは11:30に終わった。
スタッフ1人1人が違う経験をしている。同じ場所で同じ出来事に接していても捉え方が違うこともある。だからみんなで振り返り共有することには価値があるのだと思った。違いがあって当たり前、むしろその違いを活かし合うから多様なことに対応できるようになるのだろう。自分1人ではできなくてもみんなであればご利用者さんを支えられそうだ!そんなスタッフの姿勢を感じた。

藤原さんが働く場所

医療法人社団勝優会 ホスピタルケア白金高輪