医療法人社団勝優会が運営する、ホスピタルケア白金高輪は港区にある住宅型有料老人ホームです。
今回特集するのは、藤原圭希さん(訪問看護認定看護師)です。

プロフィール
看護師(訪問看護認定看護師)、保健師、介護支援専門員
大学病院勤務、訪問看護管理者を経て現在に至る。

#番外編

最期まで

今回は、「在宅」で働く看護師の姿~#5 地域で活躍する様子 ~で出会った、大田区からホスピタルケア白金高輪に入居予定だった方のその後についてお届けしたい。

病室での面談から時間はかかったものの、おじいさんはホスピタルケア白金高輪に入居された。寡黙な方ではあったが、藤原さんはじめスタッフの方々の関わりによって、ご本人の意思は明確に共有されていた。これからこの環境で少しでもながく生活をおくるはずだった。

入居から2週間。おじいさんは息を引き取った。

ご本人の意思

おじいさんは自分の力で身体を動かし続けることを希望した。
ターミナル(終末期)を迎えていたおじいさんには激しい痛みを和らげる為の選択肢(医療用麻薬)があったが、ご本人は受け入れなかったという。「動けなくなるから痛み止めは使いたくない」薬を使うことで身体の自由が効かなくなることを嫌がった。
ながいこと独居で暮らしてきたおじいさんには、頼れる身寄りの方もいらっしゃらなかった。
スタッフは皆でその様子を共有し対応した。
ある日の深夜。副施設長も自ら役割を担っておじいさんの居室を訪ね、桃をむいてさしあげたのだとか。
痛みを和らげることは貴重な選択肢であるものの「ご本人が何をしたいのか」その意思を大切にした関わり(ケア)を施設一丸となって努めていたようだ。

亡くなる前日までスタッフに対して「大丈夫」と口にしていたおじいさん。2週間という限られた時間ではあったが、独り不安の中で暮らしていた日々から一転、自分の意思を汲んで支えてくれるスタッフに囲まれて穏やかな日々を過ごせたのではないだろうか。

最期までトイレには自力で歩いて行かれていたことを、藤原さんが自慢気に教えてくれた。

藤原さんが働く場所

医療法人社団勝優会 ホスピタルケア白金高輪