De-Vo(デーボ)とは、『施設と地域の連携から生まれた認知症サポートシステム』
De-Vo ~Dementia`s Volunteer~(以下、De-Vo)

「De-Vo養成講座」構想の第一段階「学ぶ・学び合う」

私は、受講者との情報交換“経験のキャッチボール”をすることに力を注ぐようにしている。
大切なことなので繰り返すが、取り組みが継続するのも、浸透するのも、定着するのも、全ては

そこに心意気を持った人がいるかどうか

である。いくら“良い”とか“素晴らしい”といわれるプログラムがあったとしても、プログラム自体は何もしてくれない。ツールや手法に過度に依存してしまう傾向は参加する人たち(主催側も受講側も)の創造力を欠如させる。

認知症のケアは無限大。さながら数学の公式のように決まりはないので、知識詰め込み型では柔軟な対応が難しくなる。無理に型にはめ込むと、押し付け介護になりかねない。
知識を使って、その事象や経験をひも解くこと。これが実践できると本当に楽しい。その楽しさを伝えることが私のライフワークになっている。実践では使えないムダ知識とならないように。

このような“なぜ・・・?”に出会ったことはないだろうか。

  • なぜ同じことを聞くのか?
  • なぜ家に帰りたいというのか?
  • なぜ物を探し続けるのか?
  • なぜ「物とられ妄想」が出るのか?
  • なぜ道に迷うのか?
  • なぜお風呂に入りたがらないのか?
  • なぜ読み・書き・計算が苦手になるのか?
  • なぜ洋服を脱げても着るのが苦手になるのか?
  • なぜ家族や知人の顔が分からなくなるのか?
  • なぜ幻視・幻覚が起こるのか?なぜ体の動きが遅くなるのか?
  • なぜ言葉が出なくなるのか?

認知症の方と日常生活を送る中で身近に落ちている疑問“なぜ・・・?”。これらをひとつずつ紐解いていくと、事象の理由がわかり「だったら、こうしよう」と、対応方法が自然と見えてくる。
“なぜ”を紐解くのは面白い

De-Vo養成講座ではこれらのことを、身振り手振りを使いながら全身で伝える。堅苦しい講座ではなく、漫談や寄席を見てもらう感覚で、その世界に引きこんでいくことが大切だと思ってやっている。

日常と専門性を結びつける

ひと昔前の

専門用語をできるだけ使わずに

という暗黙のルールも今の時代には不向きだと思っている。今の時代は、あらゆる情報を手にすることが出来る。まず専門用語に辿り着いてしまう事だってあるだろう。だからこそ、その言葉の意味を適切に理解しておくことが大切なのだ。講座では(私の日常も含めて)、専門用語の勉強することを目的にするわけではない。あくまでもわかりやすい事例や事象を話した後に、

それに相当する専門用語は、これ。

と、“日常と専門性”を結びつけることを心掛けている。
介護や医療を利用する側が理解を深めることも重要なことなのだ。

なぜ、私は認知症予防事業に没頭するのか

かつて、こんなことを言われた。

今日、講演を聞いて介護する力が湧かなかったら、、、。母の首を絞めて、私も死のうと考えていました。今日は、たくさんのヒントをもらえたので、本当に助かった。

講演後の「良かった」「わかり易かった」は、度々声を頂くが「助かった」と、言われたのは初めての経験だった
認知症を正しく理解してもらい、好ましい対応方法のヒントを共有し合えた方々は、地域の中で社会資源になり得ると学んだ瞬間だった。そして大袈裟かもしれないが、人の命を救うことが出来た経験を誇らしく思えた。
私は常に受講者の方との関係を“双方向性”になるよう努めている。冒頭に示した“経験のキャッチボール”。この声を聞くことができたからこそ、今も取り組みを続けられていると思っている。私も学ばせてもらっている。

学んだ効果が出るのは、伝えた直後から。

受講者は講座の中での事例と、実際に出くわしたことのある“よく似た事象”を思い出す。
近所の誰々さん、親族の誰々さんなど、複数人の顔が思い浮かぶ。これが「参加のスイッチ」他人ごと⇒自分ごとに変わる瞬間である。スイッチがONになった参加者は止まらない。あちらこちらで経験談が飛び交う。この“経験のキャッチボール”こそ「学ぶ・学び合う」なのである

【Chapter1】は、地域×De-Vo~地域まるごと認知症ケア~