就職して2年程した頃に出会った、愛おしい“あまのじゃく”さん。
現代で言う“ツンデレ”というところだろうか。認知症を発症されたご婦人である。
(痛っ!!)
「も~また、つねった!」
親指の爪を立てて腕をつねるので、結構痛い。噛みつかれる事もしばしば。
入所しばらくは、つかまり歩きもできていたが、リンパの影響から腕や足がパンパンにむくみはじめ、歩くことさえ困難になっていった。
声をかけると、叩いたり、つねったりと攻撃的な行動をされる。だけど、側に居るとすり寄っていらして、私の肩に頭を預けてくれる。そんな一面もあった。
寂しかったのだと思う。
認知症という症状の中、どんどんわからなくなることが増える。表現の自由が利かなくなる。思うように行動できなくなる。
そんな中、懸命にご自分の思いを唯一誰かに伝える術だったのだ、と思っている。
息子さんはそれをわかっていたのだろう。つねられたことを話すと、
「僕にもやるんです。そうですか、つねりましたか。」と嬉しそう。
行動だけをみると確かに煙たがられる。でも、その方の内面に目を向けると、それらの行動に理由があることに気付くことができる。これこそが介護の醍醐味なのだ!
私はこう考える。
「本来の人がしていることではない、病がそうさせている」これは、「訴え」なのである。
私の右腕には、今でもその愛情表現を受け入れ続けた感覚が宿っている。
ぽんぽこさん❗こんにちは🎵
素敵な体験記ありがとうございます🎵
仲間だ~って感じました。私たちも、よく噛まれますし、つねられます。唾をはきかけられることも😅
認知症の人の時もありますし、意識はあるのだけど、しゃべれない、体が動かせない人の時もあります。面会の人には決してそんな姿はみせないのに、一番近くにいる私たちにだけ見せてくれますよね。
ご家族が微笑まれたのは、"施設でも心をひらいてくれたんた"って思われたんですね。
わたしの腕にも胸にもたくさんの患者さんからの"淋しいよ~そばにいてよ~"という心の声を受け入れた心地よい痛みが刻み込まれています❗
あまのじゃくさんはもっともっといるかもしれません。
本音のぶつかり合いができるケアを続けていきましょうね🎵
同志🎵
ケアレシピ読ませていただきました。
私も頸髄損傷かつ気管切開の方で、似たような経験をしたことがあります。
私が廊下を歩く足音を聞くだけで、「ブ・ブ・ブッ」って唇だけで音を鳴らして
私を部屋に招き入れるんです。随分と周囲のスタッフから煙たがられる存在でしたね・・・。
ちなみに、その時の原因は3つでした。①ナースコールをうまく押せないこと、②コールしてもスタッフの反応が遅いこと③顔面のかゆみや不快感を解決したいこと。
煙たがれる存在になるまでに、ご本人は、それ以上の「もどかしさ」を
繰り返しされてきたのかもしれません。(私は、この感覚を皆さんと共有したいです。)
だからこそ。
その方の内面に目を向け、行動の中の原因と理由を探し、それが「介護の醍醐味」となる。
まさに、「ぽんぽこさん」のおっしゃるとおりですね。
相手の立場で物事を考えることが、どれだけ重要かが伝わるケアレシピ。ありがとうございました。
川畑さん、Nao.178さん、コメントありがとうございます!
噛まれた、つねられた、たたかれた…とか、痛いのは事実ですが、でも、そのことだけ見てはいけないということをたくさんの利用者から教えていただきました。
人によって気持ちの表し方が違うからこそ、抱えている想いを探ってケアしていくことを磨いていきたいです。