母と共に祖父のところへ面会に行った時の話。
毎週のように祖父の面会に行く母によると、「祖父の認知症が進んだみたい、面会に来た人の名前を間違えたりする」とのこと。私は約1年ぶりに実家に戻り、祖父が入所する特別養護老人ホームへ面会に行きました。母は、私の顔を祖父に見せながら、切り出した会話に私は「えっ?」と驚きました。
(母)「じいちゃ~ん、ほら、久し振りでしょ?」「ほら、誰か分かるね~?」
(祖父)「・・・(目を精一杯開ける)」「・・・(首をかしげる)」
(母「よーく見て、ホラ!誰でしょ?」
(祖父)「・・・(悩みながら)」(顔を横に振る)
私は、「母は、症状を理解しているものの、ケアのポイントは理解していない」ことに気付きました。
母にとっては、ただの「顔当て・名前当てクイズ」だったかもしれません。しかし、認知症の祖父にとっては、きっと不安を増大させ、自信喪失になる質問だったことでしょう。帰りの車で、母に話すと、「じいちゃんに悪かったわね・・・」と反省した様子。
一番反省したのは、私自身でした。
専門職の”当たり前”を、わかり易く地域に落とし込むことの大切さを感じました。
介護に携わる専門職も、見方を変えれば介護を必要とする家族の一員。
驚きとともに気づくことは、家族になったとたん見え難くくなる、専門職の視点があるといいこと。
専門職でも見えなくなる介護の専門性を、如何に在宅で実現するのか。家族という限られた身内だけでなく、まさに地域という開かれたつながりの中で、見いだすことなのでしょうか。