
認知症の症状が出てきて3年ほど。
これまで自宅で過ごされたいたKさん(女性)。
初めて小規模多機能ハウスをご利用になられることに・・・
初日は、施設の雰囲気に戸惑われた様子でフロアー内を歩き回られて、
不安な表情でスタッフを見られていました。
昼食後、トイレ誘導をした時。
スタッフが、ズボンを下ろし便座に座るよう促し介助すると、
Kさんは慌てたように、ズボン太ももの所まであげられました。
スタッフは、ハッとしました・・・。
対応したスタッフは、
「ズボンが濡れないようにと膝下までズボンを下ろしたのですが・・・。」
介護が当たり前となり、大事な事を忘れていたと痛感・・・
女性としての羞恥心、他人に介護される思い・・・。
認知症になっても、心は失われていない事に改めて気付かされました。
トイレ、入浴、更衣、口腔ケアなど、見た目で隠していたものが見えてしまう瞬間の介護は可能であれば、他人の手を借りずに、独りでやりたいという思いは、誰にでもあります。
「恥ずかしい」という思いと、「申し訳ない」という気持ちを汲み取り、どこで配慮するか?
「大丈夫ですよ、慣れてますから」「大丈夫ですよ、仕事ですから」では決して解決できないが大切です。近づいて欲しくないけ、独りじゃできないから仕方がない・・・と諦めるケースも少なくありません。だからこそ、「失礼します」「お手伝いしてもいいですか?(お手伝いしますね)」と、しっかり声に出して、進入禁止ゾーンに近づくことが良いでしょう。
私も入居者様との関わりの中で
「自分だったら何処まで人に頼れるのか、許すことができるのか」
と考えることがあります。
やはり身内でも入浴、トイレ、更衣、嫌だなぁ。
ましてや他人、異性もっと嫌だと考えます。前に術後のベッド上排泄を強いられた時、看護師さんは「いつでも言って下さいね。」と優しかったのですが、恥ずかしくて、できるだけ頼まなくて済むように、水分を摂らなかったり、限界まで我慢をした経験があります。
介助してもらう時は、顔を覆い涙が出そうでした。そういう思いでおられるのだと、考えながら関わって行きたいと思います。